2016年6月19-22日、米国ワシントンDCにて、SHRM2016年次大会が開催された。今年のメーンテーマはBreakthrough《突破口》。
機能不全に陥りつつある人材マネジメントでの5つの課題

  1. 急速に進展するデジタル人事とミレニアル対策
  2. エンゲージメント対策、多様化する企業風土の融合、CSR事例等の発表
  3. 上から目線の人事評価から、フィードバック中心の人財開発への転換
  4. 不確実性の時代を生き抜く、人財の採用、維持、人材育成と人材開発手法
  5. これらの大転換を推進する新たなHR プロの養成と認定事業

と対策の一端をご紹介します。

執行役員 石川 洋
(株式会社スマートビジョン 代表取締役、戦略的人財マネジメントセンター 代表)

大会の参加者、基調講演者に関しては、http://www.smartvision.co.jp/SHRM2016.htmlの掲載を参照ください。過去7回参加した中で感じた人材マネジメントの最新動向を中心に、今回報告します。

1.急速に進展するデジタル人事とミレニアル対策

SHRM 大会基調講演:大会テーマ「BREAK THROUGH」

 過去のSHRMコンファレンスでは、SNSへの対応とか、スマホの活用とかの個別的な対応事例が、殆どだが、今年は、その内容がさらに進化し、職場の半数を占めるようになったミレニアル対策、それに伴うスマホの活用を進展させ、厳しい競争に勝ち抜く事例が増えた。

 従来は、セールス支援策として、スマホの活用が進み、これからは、テレワークも増え、どこでも情報の引き出しを可能にし、事務所の席のフリーアドレス制度も増え、HRのプロでさえも、スマホの活用をする時代になった。

 新しい働き方を可能にするには、従来のHRISの他、デジタル情報への大転換をベースにしたナレッジ・マネジメントシステム、情報共有システム、スマホによるフィードバックの新しい仕組み、新世代パフォーマンス・マネジメントやタレント・マネジメント システムに至るまで、タブレットやスマホ化が進み、デジタル人事の時代が到来したのである。

2.エンゲージメント対策、多様化する企業風土の融合、CSR対策事例等の発表

 今年も、エンゲージメントをテーマした発表事例が増え、ダイバーシティやCSRの事例も増えた。各種のプロフェショナルサービスを提供するフランス生れのSodexo社のダイバーシティ事例は、規模の面、経営幹部やマネジャーへのインセンティブを活用した大規模成功事例である。これは、すでに9つの大賞を得ていることからも注目に値する。

 日本企業では、女性活躍を中心に、ダイバーシティの担当部署をつくり、女性マネジャーを据えているが、欧米企業では、全社規模で各種のダイバーシティが進められている。Sodexoでは、男性女性比率が、40:60まで到達し、その熱心さは、格段の違いがある。

 その他、今年は、専門デパートのKohl’sのCSR事例、Dell社の企業風土の融合事例、HP社の分社が注目を集めた。

3.上から目線の人事評価から、フィードバック中心への人財開発への転換

 GE、IBM、マイクロソフト、アドビ社を始め、欧米先進企業の多くでは、年に1度の評価ではなく、半年毎か、4半期毎、或いは毎月にした事例も増え、その多くが、上から目線の評価体系から、コーチング&フィードバックに転換したが、今年の議論は、その実践や運用手法の違いが見られた。その中でも、Performance conversationのセッションでは、その転換後の効果測定結果を示すものも出てきた。

 GE式のForced Rankingを、廃止する企業が多く見られたが、従来から行なわれているアセスメントのRating評価が残っている所もあり、IBMの様に、更に広い分野で評価を実施したりした所もある。

 ウィラメット大学の教授が、「グローバルHRの4つの機能不全」と題するセッションでは、最大の機能不全として、従来のパフォーマンスマネジメントを取り上げている。

4.不確実性の時代を生き抜く、人財の採用、維持、人材育成と人材開発手法

 また、従来の採用(Acquisition)と維持(Retention)の手法の見直しをしている所が見られ、今後は、Benefit費が増大するので、外部の業者から、更に良い条件のベネフィット提案を検討し、Private Exchange等の新しい概念を導入した仕組みを検討中の所もあり、これをどう活用するかが課題になる。

 従来のタレント マネジメントの導入事例は、一段落した感があるが、SumtotalのSelf Developing systemの様な、ミレニアル対策を施した進化版を発表し、多くのタレント・マネジメント ソフトベンダーが、タブレットやスマホ版を発表する段階に入った。

IMG SHRM 大会基調講演:大会テーマ「BREAK THROUGH」

5.これらの大転換を推進する新たなHR プロの養成と認定事業

 最後に重要なのは、色々の突破口を乗り越えるには、社内で戦略的に取り組む新しいタイプのグローバルHRプロの養成が必須になる。SHRM本体が、HRプロのための新しいSHRM Certification CP/SCP 認定を2015年に開始し、現在すでに約10万名のHRプロの認定が進んだ。

 既に、SHRMの主要幹部、支部の幹部は、SHRMSCPを取得した。

 今後は、この認定者をグローバル展開することが、次の課題で、中南米やアフリカでは、大きな動きが進行中だ。しかし、アジア地域での認定者は、まだ少ないのが今後の課題になる。


この要望に答えて、JSHRMの自主運営研究会SHRMコンピテンシー研究会を、2015年12月に設立し、2016年7月には、日本初の合格者を、SHRMコンピテンシー研究会の中から誕生させた。
 SHRM SCP認定者の松下氏の協力を得て、2016年11月から、Preferred講座を開講、現在、参加者を募集中です。JSHRMの会員の皆さんには、各種の熱い支援を計画中です。詳細は下記。
SHRMコンピテンシー研究会ブログ


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