【講 師】
カゴメ株式会社 執行役員 経営企画本部 人事部長 有沢 正人 氏
三菱商事株式会社 人事部 部付部長 兼 ヒューマンリンク株式会社 代表取締役社長 和光 貴俊 氏

【モデレーター】
株式会社HR ファーブラ 代表取締役 山本 紳也 氏

改革に熱がこもる有沢氏

 最初に有沢氏は、企業のグローバル化の進展は、会社が置かれている状況により、人事のアプローチが異なるとし、現在地とゴールを抑えることの重要性を示されました。会社の置かれているステージは4段階あるとし、最初の段階は「海外拠点においては、各地域・国のトップの権限が強く、ローカル主導・ローカル最適の事業運営が、各国バラバラで行われている状態」で、最終ステージは「各地域・国が本社の経営判断とローカルに適した判断のバランスをとって、自律的に動くことができる状態」と整理。最終段階に進めるためには、グローバル連結経営への展開を図ると同時に、本社を、戦略機能に特化した「価値創造組織」と明確に位置づけることが重要とされました。

 カゴメの改革の成功の鍵は、経営者の信頼を得ることにあり、改革をやり切るにはこの支援が必要であると力説されました。まず、最初に着手したのは、人事制度の核となる【評価制度(報酬)】にあり、トップの経営から報酬をガラス張りにされました。「あなた仕事はいくらか」が明確となり、【Pay For Performance】を徹底することで、おのずと自律的なキャリアパスが形成されるとしました。このインフラを整えることで、グローバル連結経営の展開の共通の基盤(ハード)ができ、ようやくマネジメント(ソフト)が回りだすのだと締めくくられました。


スマートに施策を説明する和光氏

 和光氏は、商社のビジネスモデルはトレーディングから事業投資、更には事業経営へ、と変化しており、グループ企業の中核となる本社においても、企業としての強みの源泉を特定したうえで、人事施策を再構築する必要がでてきた、と課題を示されました。具体的には事業会社が主戦場になったことから、経営人材となるための経験を事業会社への出向等により早期に積ませ、経営者予備軍の厚みを持たせること、そして、競争優位の源泉の一つである海外の広範なネットワークを活用し、「優秀な新卒の人材」を「入社8年目までに全員に海外経験をさせる」などの施策を実施しているとの具体例を提示されました。また、多様な人材が活躍できる場を整備することの目的は、「新たなアイディア」や「イノベーション」の創発にあり、「自分と異なるもの」についての理解を通じて、「異なる意見を受容」し、「謙虚さ」も身につけることこそが、グローバルにビジネスを展開する為に必要不可欠なことであり、ダイバーシティは目的ではなく、手段であるべきだ、と位置づけを整理されました。

有沢氏と和光氏の価値観を質問で巧みに引き出す山本氏(右)】

 山本氏から、元気な会社に共通することは、人事責任者の本気という熱量にあり、それが改革の原動力になると指摘され、会場からの多くの質問を引きだしながら、進めていただきました。有沢氏から、人事は経営に直結、経営の安定につながることから、勇気と覚悟が必要。そして、和光氏から、ここまでが人事という境界線はない、人事も「境界(バウンダリー)」を超えることの必要性を伝えることで終了となりました。

〈当日資料から〉

執筆:執行役員(自主研究会担当/ HR カフェ研究会)武田 行子