しばらくご無沙汰していた『ぶらり企業探訪』コーナーです。今回は、株式会社Roots 代表取締役中島悠揮さんとキャリアコンサルティング事業部田中優花さん(内定者)にお話を伺いました。株式会社Rootsは、新卒採用試験において一旦不採用になった学生さんを企業間で紹介し合うことにより、優秀人材のマッチング機会と確度向上を実現するという独自サービスを展開しています。ナビ(リクナビ、マイナビ等)就活の限界(脱ナビ)が指摘され、新たなスキームの登場が期待されています。新卒早期離職という社会問題の解決も見据え、これからの新卒採用に革命を起こす企業です。

聞き手・文:岡田 英之(Insights編集長)

株式会社Roots 代表取締役 中島悠揮

株式会社Roots 代表取締役 中島悠揮
大学卒業後、一部上場の広告・人材会社に就職。その後、楽天株式会社を経て株式会社Rootsを設立。楽天株式会社では入社1年半にしてMVP、楽天賞を獲得(9,303名中)し、新卒紹介事業の責任者として、事業を牽引した。また、大手、中小企業を中心に200社以上の採用コンサルティングや大学での講演をはじめ、多くの学生に対し就職アドバイスを実施している。

会社概要
設立日:2014年4月2日
本社所在地:東京都千代田区神田神保町2-15 第一富士ビル7F
連絡先:03-6261-5989
事業内容:HRテック事業・採用コンサルティング事業、キャリアコンサルティング事業
決算期:3月
資本金:1,000万円
代表者:代表取締役 中島悠揮
従業員:20名(2017年1月時点)
取引先実績:住友不動産販売株式会社・キヤノンシステムアンドサポート(株)・読売新聞社・楽天株式会社・京都きもの友禅株式会社・日本管理センター株式会社・日清食品ホールディングス・三越伊勢丹ホールディングス・パソナグループ 他400社
株式会社Roots

◆不採用の学生を企業間で紹介する独自サービスを展開

岡田(編集部会) 今日は株式会社Roots代表取締役の中島社長にお越しいただきました。よろしくお願いいたします。まずRootsの事業内容についてお聞かせください。

中島(Roots代表取締役) 会社の事業は大きく二つあり、クラウド型の応募者管理システムであるキャリアクラウドと新卒の人材紹介です。どちらも新卒採用に関するサービスで、キャリアクラウドは現状300社ほどの企業さまにお使いいただいています。また人材紹介事業では年間で200名ほどの学生が当社経由で就職しています。
 ほとんどの企業ではエクセルで応募者の管理をされているのですが、エクセルでの管理はわずらわしく、学生への連絡が遅延して信用を失ってしまい、採用につながらないということがあります。採用活動を簡単に効率良くしていただくためにキャリアクラウドを提供しています。キャリアクラウドは採用活動の効率化を図り、学生としっかり向き合っていただくことが一つの目的ですが、実はもう一つの当社独自のサービスがあります。
 それは不採用になった学生たちを取引のある企業さまとシェアする機能です。不採用になった学生は決して優秀でないわけではなく、残念ながらその会社に合わなかっただけです。そういう学生を企業さま同士で協力して採用する世の中になればいいなという考えから生まれました。

岡田 とても珍しいサービスですし、社会的にも意義がありますね。

中島 どの会社もやっていないサービスですし、大手人材会社がこのサービスを始めることもないと思っています。それはリクナビやマイナビなどのナビサイトはエントリー者数を増やすほど利益が出るビジネスモデルなので、ユーザーを共有することになると逆に売り上げが下がってしまうからです。
 このサービスを始めたのは、売り手市場であっても毎年10%ほどの学生たちが就職できずに卒業しており、また採用予定が達成できなかった企業も多いと聞いたからでした。このような現状であってもリクナビやマイナビはしっかり利益が出ているようで、私はそこに非常に違和感がありました。そこで不採用になってしまった学生を企業間でシェアしながら採用できるような世の中をつくっていこう、就職できない人をなくしていこうと考えました。考えに共感をしてくださる企業さまも増えてきており、利用社数は堅調に推移していますが、もっと利用社数は増やせると考えています。

岡田 社長からご覧になっていて、まだまだ少ないということですか。

中島 はい。まだまだ少ないです。共感をしてくださる人事の方は多いので、引き続き挑戦をしていこうと思っています。

◆採用後もフォロー 採用から定着までを含めてマッチング

中島 もう一つの新卒の人材紹介事業ですが、人材紹介業を3年間続けてきた中で、弊社経由で就職した学生が早い段階で退職してしまうケースが何件かありました。これは本当に寂しい気持ちになります。この現状を何とかするために今年から事業モデルを変えようとしています。一般的に採用が決まると一定金額の報酬が人材紹介会社に入りますが、弊社はその報酬を平均以下に設定しています。そして入社してから辞めないようにフォローしていくことで月額の費用をいただきます。今はこのようなモデルチェンジをしている状況です。

岡田 新卒者の早期離職問題は昔からある問題で、採用から定着するまでを一つのサービスとして提供するというのは、とても共感されるのではないですか。

中島 「素晴らしいサービスだ」と言ってくださることが多く手応えを感じています。人材紹介会社経由での採用というのは、採用費用がネックで採用ハードルが少し高くなってしまいます。普通の募集で来ていれば採用していたのに、紹介料がかかるならちょっとやめようかなとなる。しかし弊社の設定している紹介料の金額であれば、ナビサイトに掲載して採用する単価とほとんど変わりません。学生にとって採用の機会損失にならないという意味でも、良いサービスだと感じています。

◆ビックデータ解析を活用して、定着率に着目したサービスを展開したい

岡田 今後、注力されていく事業やサービスはありますか。

中島 私の会社の強みは人材紹介力とテクノロジー力です。実はキャリアクラウドは全部内製化してシステムを作ってきました。社員も半分はエンジニアです。このテクノロジー力を生かし、定着率に着目した人材紹介事業に力を入れたいと思っています。
 まだ構想の段階ですが、メッセージアプリみたいなものを作ろうと思っています。会社でキャリアコンサルタントを雇って、就職した人とアプリ上でメッセージのやりとりをします。メッセージにどういうワードが入ってくると離職するのか、メンタルバランスはどうか、どういう人がどういう精神状態になると離職可能性が高まるかといったデータを蓄積していけば、3年ほどで面白いデータになると思うのです。これを全て自社のシステムで実現して、蓄積したビックデータを活用して新しいビジネスを展開したいなと考えています。

岡田 蓄積したデータのエビデンスに基づいて、採用した学生が定着するようアドバイスしていくということですね。とても面白いですね。

中島 将来的にはこのデータとキャリアクラウドを連携させて、「こういうタイプの人は定着率が高いから採用するべきですよ」といったことが分かるようにするのが、今私が描いている完成形です。

AIやビックデータ解析は、これからのサービスに必須です!

◆起業のきっかけは、新卒採用は時代とともに変わるべきだという思い

岡田 なぜRootsという会社を立ち上げられたのですか。

中島 現在の日本の新卒採用の仕組みは1996年にリクルートが「RECRUIT BOOK on the Net」をスタートしたことで始まりました。そこからリクナビが誕生して、ここ20年は同じような事業モデルが続いています。しかし中小企業に応募が来なかったり、大手企業には応募が来過ぎたりという問題が出てきました。学生にとっても、ナビサイトに登録されている会社がたくさんあって、自分に合った会社は分かりにくい。
 世の中が大きく変わってきている中で、新卒採用の形も時代に合わせて変わっていかないといけないのですが、何もイノベーションが起きていないというのが現状です。この現状を何とかしたいと強く思ったのが起業したきっかけです。

岡田 会社を始める前はどのようなことをされていたのですか。

中島 私が新卒で入ったのは、新卒採用に強い株式会社学情です。その2年後に楽天株式会社に転職したところ、「みん就」に配属されました。みん就とは「みんなの就職活動日記」という就活における口コミサイトです。2社で仕事内容が連続して、私は新卒採用に関わる運命だなと思いましたね。27歳で独立することは決めていたので、楽天で3年間働いた後に、新卒採用に関する何かしらのビジネスをしようと思いRootsを立ち上げました。
 最初は人材紹介からスタートしましたが、人材紹介だけをしていても新卒採用にイノベーションは起きないと思ったので、不採用者をシェアすることを思い付きました。不採用をシェアするためには応募者管理を握りにいかないといけない、そのためにクラウド型の応募者管理システムを作ろうということで、今に至ります。

◆新卒採用の方法が脱ナビへと変わりつつある

岡田 今感じておられる新卒採用市場の問題点はありますか。

中島 本来、新卒採用は企業経営の要になるものですが、優先度が低いと考えておられる企業があります。また経営者も新卒採用の重要性や課題についてなんとなく気付いていても、現場の担当者にまでその意識が届いていない。これは問題だと思います。
 また今はどの企業でもナビ経由の応募者がどんどん減ってきている中で、戦略的に採用活動しないと多くの学生に出会えないという状況になっています。中小企業さんは特にそうです。大学への進学率は上がっていますが、中小企業への就職希望者数は横ばいという状態です。ナビサイトの会員登録数もほぼ変わらないのですが、実際の利用率が明らかに下がっています。

岡田 母集団が形成できないということですね。

中島 解決策として、私たちは今年から新卒採用担当のコミュニティ「卍の会」を結成しています。同業の人は別のチームにするなど配慮しつつ、採用担当者が集まって情報交換ができる場つくりに力を入れていきたいです。他にはキャリアクラウドのコンテンツとして、採用に関する情報を動画で提供しようと考えています。
 今、採用手法が大きく変わりつつあります。ベンチャー企業などを中心に『脱ナビ』、ナビサイトを使わずに採用するというのが一般的になってきています。特に優秀層を採りたい企業ほどその傾向が強い。今は東京を中心とした流れですが、この動きは全国に広がっていくだろうと思います。採用ツールも多様化しており、情報感度の高い学生ほどナビではなくて自分に合ったツールを使って就活しようと動いています。

岡田 ナビ以外にどのようなツールがありますか。

中島 スカウトサイトの利用、少人数系の合同説明会への出展、紹介を中心にする、リスティング広告で直接採用するなどいろいろな方法があります。リスティング広告については理系学生を中心に活用されていて、「自分の専門分野、スペース、就職」といったキーワードで検索して就職活動をしているようです。学生アンケートでも、リスティング広告をメインに使って就活している学生は30%と非常に多い数値が出ていました。

◆ベンチャー企業は経営者の理念や熱意で学生を口説く

岡田 新卒一括採用について賛否両論ありますが、どうお考えになりますか。

中島 新卒一括採用というのは日本の文化であって、恐らく今後もなくならないと思っています。成長されているベンチャー企業の経営者の人に成功の秘訣を聞くと、「新卒採用だ」という意見がとても多いのです。

岡田 それはなぜでしょうか。

中島 文化を継承していけるというのが一番の理由かなと思います。会社の規模がどれだけ大きくなったとしても、新卒で採用した社員が創業社長の持っている理念を直接受け継いでいく。中途採用の人はどうしてもその人の持つカラーが強くなってしまうので、会社の文化が崩れてしまうという可能性があります。
 また採用コストが安いことも魅力の一つです。小さい会社や知名度の低い会社では、有名大学卒業の人材を中途採用で採用することはほぼ不可能です。しかしそれが新卒だと可能になります。それは学生を口説く材料が年収や労働条件ではなく、社長の理念や熱意がものを言うからです。

岡田 しかし学生の人気企業ランキングでは、ここ何十年も変わらず、銀行、商社、マスコミなどが上位です。これはなぜでしょうか。

中島 やはりブランド力が魅力なのでしょう。本来はその会社に入って5年後10年後に幸せになっているかということが大事だと思うのですが、そうではなくて「今どこに内定をもらったのか」ということを気にしている学生が多いように思います。

岡田 メガバンクとRootsさんに内定が決まっている学生がいた場合、どうされますか。

中島 未来を見せて説き伏せるしかないですよね。福利厚生や給与待遇では絶対に勝てないので、「会社は5年後こうなっているよ、それを一緒に作ろう。君は5年後にこういうポジションになって、こういうキャリアが描けるよ」というところで戦っていくしかないです。

岡田 メガバンクなどでは3年以内の離職率がとても高いです。多くのベンチャー経営者が協力して、早期離職した人材を採用するマーケットを作るというのはどうですか。

中島 面白い取り組みですね。やってみたいです。実は同じような取り組みをされている会社があります。ある生命保険の会社から離職した人を紹介してもらい、うちが他社に人材紹介をして、採用が成功すると報酬を払うということをしています。こういうモデルは企業間であってもいいですよね。面白いアイデアだと思います。

岡田 AIやHRテックが新卒採用に及ぼす影響について、どうお考えですか。

中島 採用の問題に関してテクノロジーが解決するのはマッチングの精度と業務の効率化だけだと思っています。システムやWEBの情報を見ただけで就職先を決めることはなくて、やはり実際に会社の人に会って、社長の話を聞いて、ここで働きたいなと決めると思います。どれだけテクノロジーが進化しても、人の意志は人でしか変えられません。結局は人なのです。
 テクノロジーを使って優秀な人材に出会えるとか、採用の効率化が図られるというのは非常に良いことです。ですから変革を求めるときにテクノロジーが入り口でもいいと思います。ただそれだけだとその会社の採用はうまくいきません。実際に来た学生に口説きができないと、この会社に入ろうとはならないと思います。

ベンチャー企業に最適な採用戦略とは?

◆新卒採用が変わることで日本が変わる。お客さまとともによりよい新卒採用を目指す

岡田 内定者として同席されている田中さんにもお話を伺えますか。

田中(Rootsキャリアコンサルティング事業部内定者) お話を伺っていて面白いなと思ったのが、学生から人気の企業が変わらないというところです。私の周りにも優秀な人がいますが、安定しているという理由で銀行や商社を選ぶ人が多いです。その頭をぜひベンチャー企業で使ってほしいなと思っています。

岡田 大手企業は安定していると考えているのですか。

田中 学生はどうしても福利厚生が手厚いことが安定と考えがちです。メガバンクが人員を削減しているというニュースさえ知らずに銀行を受けている人もたくさんいます。学生自身もしっかり勉強しないといけないと思います。ただ、そうなってくると就活だけではなく、キャリアの考え方をもっと早いうちから勉強していく必要があります。大学4年間で「自分に合う会社とは」を考える教育制度ができるといいなと思います。

中島 確かに彼女が言ったように、大学でキャリア教育の授業がないのは問題かもしれないですね。大半の学生が就活をスタートするのが大体3年生の3月くらいで、ここから半年間で会社のことを調べて、自分に合った会社を探すというのは難しい話です。本当に自分に合った会社で働くことは、結果的に日本の生産性が上がることにつながると思うので、新卒採用が変わることによって日本は変わると信じています。
 弊社のサービスは、私たちだけで考えて作ったわけではなくて、企業さまの意見や要望をどんどんと反映して作ってきました。その結果、お客さまが求めるシステムが出来上がっていると自負しています。私たちがお客さまである企業の要望を実現させていくという役割を担い、お客さまとともに新卒採用が良くなるような流れをつくっていきたいです。

岡田 本日はどうもありがとうございました。

取材後のパチリ!!

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