急速に進む人口減少により労働力の確保が社会問題となりつつあります。都市部のコンビニでは外国人スタッフの存在はすっかり当たり前の光景となりました。コンビニに限らず飲食業、小売業を中心に外国人労働者の数はうなぎ上りです。
 彼らの多くは技能実習生制度という枠組みで就労します。日本語学校や大学で学びながら原則「週28時間」の範囲で労働する私費留学生が大半です。しかし技能実習生制度や日本語学校には深刻な闇の部分が存在します。
 今後、ますます多くの企業で外国人労働者を迎え入れていく社会が到来します。その前に一旦立ち止まって外国人労働者の実態と闇についてしっかり把握しましょう。

聞き手・文:岡田 英之(Insights編集長)

セリザワモータース代表 ライター 芹澤 健介 氏

セリザワモータース代表 ライター 芹澤 健介 氏
1973(昭和48)年、沖縄県生まれ。横浜国立大学経済学部卒。ライター、編集者、構成作家。NHK国際放送の番組制作にも携わる。長年、日本在住の外国人の問題を取材してきた。著書に『血と水の一滴 沖縄に散った青年軍医』、共著に『死後離婚』などがある。



岡田 英之(編集部会):本日は、日本の外国人労働者問題に鋭く切り込んだ新書「コンビニ外国人」の著者である芹澤健介さんにお越しいただきました。企業人事にとっても外国人労働者の活用というテーマは大変重要です。我々日本人が外国の方とどのように共存していくのか。また企業として外国人社員に戦力になってもらうには、どのような対応が必要かということなどをお伺いできればと思います。まず芹澤さんの自己紹介とこの本をご出版された背景についてお話いただけますでしょうか。

◆『コンビニ外国人』出版の経緯

労働力人口の減少と外国人労働者問題

芹澤 健介(フリーライター):この本を書いたのは、僕自身がここ何年かの間に家の近所や外出先でなんとなく外国人が増えてきたことに興味を持ったのがきっかけです。3年前ぐらいから、それまでのように中国の方だけではなく、ベトナム、ネパール、バングラデシュなど、さまざまな国の人を見かけるようになりました。そして「あ、こんな国から来ているんだ」と思っているうちに、あっという間にこの1~2年間で、東京都心部のコンビニのほとんどで外国人が働いているような状況になりました。

岡田:本当にそうですね。外国人店長も多くなりましたね。

芹澤:店長もそうですし、バイトリーダーのネパール人が中国人に日本語で仕事を教えているシーンなども見かけるようになりました。外国人だけでオペレーションしている店もある。僕は、当時それがすごく新鮮で、彼らがどのようなステイタスで、どのように来日しているかに興味があって調べ始めたのです。

岡田:それがご出版のきっかけだったのですね。おっしゃるとおり、今は新宿や渋谷などのいわゆる繁華街や大手町などのオフィス街でも、ほとんどのコンビニで外国の方が働いています。コンビニだけでなく松屋などの牛丼チェーンでも似たような状況ではないでしょうか。

芹澤:同じです。牛丼チェーンだと外国人が夜1人(ワンオペ)で働いている店もあります。すごいと思いますね。
 この本は「コンビニ外国人」というタイトルですが、コンビニに働いている外国人のことだけを論じた本ではなく、私たちの一番身近な外国人であろうコンビニで働くスタッフをきっかけに、日本で働いている外国人の労働問題、環境問題を俯瞰してみようとした本です。ただ、このテーマは本当に変化のスピードが速くて、本を書いて半年もたっていないのにもう状況が大きく変わりつつあります。

岡田:どのように変わっているのでしょうか。

芹澤:まず帯に「世界第5位の外国人労働者流入大国」と書いてありますが、現在は既に4位になっています。また執筆していた当時の留学生数は約27万人でしたが現在は31万人です。次から次へと状況が変わるため、本を書き直さなければならないと思うほどです。

岡田:「コンビニ外国人2」を出さなければいけないですね(笑)

芹澤:今の日本では、本当に多くの場所で外国人が働いています。例えばコンビニで売られているおにぎりを外国の方は「すごく日本的だ」と誉めてくれます。でもそのおにぎりですら、作っているのはもう外国人だったりするんです。おにぎり工場だけではなく海苔やお米を作る現場もそうです。技能実習生が農家や海産物をとる漁船で働いています。

岡田:今は健康ブームで和食が見直されています。しかし和食を支えているのは外国人だということですね。日本の農家のお婆ちゃんが一生懸命お米を作っているわけではない。

芹澤:はい、もう和食の文化も外国人がいないと成り立たない状況になっています。

岡田:流通業界の方から話を聞くと、現在は日本の消費を担っている外国人のボリュームもばかにならないそうです。定住している方が多くなったため、食品、衣料、雑貨に占める消費のウエイトがかなり上がってきているらしいです。

芹澤:そうだと思います。現在日本に在留している外国人は約250万人。つまり名古屋市とほぼ同じか少し多いぐらいです。ところが、それだけの人数をまるで無視するようなかたちで政策が組まれています。この間の骨太の方針でも「移民政策はとりません」と言ったうえで「外国人労働力は受け入れよう」という話になっています。

岡田:それは、おかしなことになっていますね。

芹澤:そう思います。今回取材を始めて自分もそれに気づき、少し考え方を変えていく必要があるかもしれないと思いました。決して「移民を受け入れよう」と声高に言いたいのではなく、現在のおかしな状況について、ではどうするのか、どんなふうに考えていけばいいのか、この問題に目を向けるきっかけになればと思って書きました。

岡田:国の政策はさておき、一部の世界の話ではなく、私たちが毎日使うコンビニに見られるようなことが身の回りでどんどん拡大している訳ですね。その背景まで考えると、本当にすべての日本人が今、考えなければならない問題です。この本を読むと、そういったことを問いかけられるということですね。つまりみんなで外国人問題を考えていきましょうという趣旨でよろしいでしょうか。

芹澤:そういうふうに感じていただければ、書いた者としては嬉しいです。

◆激増する外国人労働者の実態

岡田:人事的な観点から言えば、製造業はAIやRBA(ロボティクス)の導入である程度人口減少に対応できると思います。ただ、流通業、飲食チェーンなどのサービス業はどうしても人手が必要です。しかし若年層人口は既に減少しつつある。そのような状況で外国人労働力をある種いびつなかたちで活用している現実があるのでしょうか。そうなると流通業などは産業構造的にも厳しくなっていると言えますね。

芹澤:厳しいと思います。コンビニの数はこの20年で約2.5倍に増えています。僕が大学生だったころは2万店舗ぐらいでしたが現在は約5万5千店舗です。その割に実際に働いている日本人の数は減っているのです。

岡田:その穴を、外国人が埋めていた?

芹澤:はい。埋めているという感じですね。今は日本人がコンビニであまり働きたがらないんです。先日、日本フランチャイズチェーン協会に取材したのですが、今後はコンビニも技能実習制度の枠に加わるように調整を進めているそうです。早ければ2019年からコンビニで働く外国人技能実習生が出てくると思います。

岡田:そうすると、現在コンビニで働いている外国人たちは?

芹澤:彼らは、ほぼ留学生です。

岡田:留学ビザで働いているのですね。それだと働く期限や時間の上限があるはずですが、実際はそれを超えて働いている人もいるのではないですか。

芹澤:結構多いと思います。お店を変えたらわからないので、その辺はグレーゾーンです。

岡田:このテーマに関してしてはいろいろ賛否両論があります。なにが正解というものはないと思いますが、芹澤さんご自身はどのようなスタンスでしょうか?

芹澤:僕は、もう外国人の受け入れを正面からしていくべきだと思っています。それをしないと国が縮小する一方で、にっちもさっちもいかなくなる。僕は今45歳ですけど70歳になったときはもう若い人がいないんです。国として年寄の国。老国というのか、国自体が年老いてしまいます。

岡田:今ですら65歳以上が4人に1人。まもなく3人に1人になると言われていますよね。

芹澤:はい。このまま日本が滅びていくことをよしとするなら別ですが、多分、方法がまだあると思うのです。それがどのような方法なのか正直わからないのですが、今のような外国人の受け入れ方をやめて、きちんと共生できる社会を模索していくべきだと思います。

岡田:このような話を、年越し派遣村(2008年)の時のように、政治家だけではなく国民全体で議論すべきタイミングということかもしれませんね。非常にセンシティブな問題ですよね。

芹澤:そうです。やはり移民アレルギーみたいなものがありますから。

岡田:僕も正直いってあるんです。外国籍の方にあまり慣れていないので。

芹澤:僕もありました。また、今のヨーロッパの問題を見ても大変なことになるイメージがあります。でも考えていかないと。もう日本人だけでやっていくことは多分できない。子供たちにあまりにも負担がかかってしまいます。国民がますます子供を作りたくなくなり、お金持ちは多分日本から出ていってしまうと思います。

岡田:生産年齢人口、つまり税金を払う人たちがいなくなるので、お爺さんお婆さんを支えられなくなりますね。

芹澤:はい。だから、生き残りの方策をみなで考えるタイミングではないかと思っています。

岡田:政治的なイシューにするのではなく、もう少し生活密着型、社会問題というスタンスで考えるということですね。

芹澤:おっしゃるとおりです。本では触れていないのですが、実習生に子供ができ、外国にルーツがある子供たちも増えています。そんな問題も今後表面化してくるはずです。いろいろ、もう無視できないところまできているので、少しずつ前進していくしかないと思います。

外国人労働者問題とは?

岡田:イデオロギーや好き嫌いではなく、日本を滅ぼさないために、未来ある子供たちのために、外国人との共存・共栄をしていく方法について議論していこうという話ですね。彼らとしっかり対話していこうと。もちろん外国人と一口にいってもいろいろな国、地域、文化があります。だからこそ議論を始めないと間に合わない訳ですね。

芹澤:間に合わないと思います。今時点でかなり国益という観点からも損失を出している状況だと思います。留学生でそのまま日本で働きたいと考える人は結構多いのですが、実際に日本の企業に就職できるのは30%未満にすぎません。結局、日本に拠点を置く外資系企業に流れています。これはまずいのではないかと思います。

岡田:たしかに日系企業への就職率はかなり低いと思います。

◆技能実習制度が抱える闇について

岡田:先ほどお話に出てきた技能実習制度についてお聞きしたいと思います。実はこの技能実習制度については、民間企業、大学、送り出し側の教育機関、それぞれのフェーズでトラブルになることが多い。中にはこの制度を悪用する企業も存在します。そもそも技能実習制度とは、どのような制度なのでしょうか。

芹澤:技能実習制度は、そもそも国際貢献を目的に作られた制度です。日本に外国の人々を招き入れて、例えば農業、漁業、工業、最近は介護も入りましたが、現場で技術を習得してもらう。覚えたら母国に帰っていただき役立ててもらう。それが人的な資産となり国際貢献につながるという理念で作られた制度です。

岡田:理念は素晴らしいですね。

芹澤:素晴らしいのですが、建前は立派でも本音の部分では、足りない労働力を補うという、わかりやすい使われ方をしている制度だと思います。

岡田:しかも安価で。

芹澤:時給200~300円で働かされています。問題なのは、実習生が実習期間に職業を変えることが全くできないことです。だから契約先企業のほぼ言いなりになってしまう。現代の奴隷制度という言われ方をしているのも事実です。

岡田:行政も事実上黙認しているわけですか。

芹澤:黙認しています。今度の骨太の方針では、技能実習生が最長10年まで働けるようなビザを新設するという話になっています。これまでは5年までだったのですが。それでも、国は絶対に労働力の補填のために入れるとは言わないです。今回、ようやく外国人の労働力という言葉が出てきたので認めているかもしれませんが、国際貢献であるというスタンスは崩していません。

岡田:要するに、本来は最低賃金を払うべき労働を技能実習制度という仕組みを使うことで、外国人に安価でさせているのですね。

芹澤:はい。もちろん技能実習生のことを思いやって働きやすい環境を作っている方々も存在します。でも悪いことをしようと思ったらできてしまう制度です。職場が工場だったり、農家だったり、一般の社会と少し隔離されたクローズドな世界であることも問題です。この制度は問題が山積みなので、一刻も早く止めたほうがよいと思っています。

岡田:現在の技能実習制度は問題があるので適正化を図ると同時に、本来の就労ビザの条件緩和などをもう少し進めるべきでしょうか。

芹澤:単純労働ビザを発給するべきだと考えます。現状、日本の企業が外国の送り出し機関に1人あたりマージンいくらとお金を払い、本当に“人買い”のような話になっているケースすらあります。

岡田:良くいえば途上国に対する経済支援ですが、要は労働力を買っているわけですね。

芹澤:先日インターネットで見た記事では、福島の除染作業にベトナム人技能実習生が雇われていたとありました。しかも母国を出るときに危険な作業だと聞かされていないまま仕事についている。大問題と思いました。

岡田:完全に奴隷労働ですよね。かつてのドイツと同じです。日本人は事情を知っているから働かない。外国人だったらいいだろうと採用する。でも言葉も通じないからと、ろくに説明しないで就労させてしまう。脇が甘くなっている訳です。原発に限らず企業の中でもいろいろな危険業務はあります。中には同じように外国の方がきちんと説明も受けないまま過酷な業務についているケースがあるかもしれませんね。

芹澤:話を聞くのも嫌なのですが、雇い主側がもう完全に下に見ているケースも多いです。「そんなのは外国人にやらせておけ」という言い方をします。

岡田:上から目線ですね。日本企業が海外、特に中国や東南アジアにいって揉め事を起こすのは大抵このような話です。僕もよく聞きます。これは一体何なのでしょうか?ヨーロッパを訪れるとおとなしいのにアジアを訪れるととたんに偉そうになる人がいますよね。

芹澤:明治時代から日本人のメンタリティはあまり変わっていないのかもしれません。アジアの中でいつも1番という思いがあるのではないでしょうか。ひと昔前に“アメリカ人が上司、フランス人が上司になってたらどうする”という話がありましたが、これからは、中国人、ベトナム人、ネパール人が上司になることも起きてくると思います。能力だけでみたら、コンビニで働いている外国人にも優秀な人材がたくさんいます。

岡田:そうなったときに日本人のマインドがどうなるか。上手にアジャストできるかですよね。近年は日系企業でもダイバーシティと言って、多国籍の人たち、LGBTの人など、様々な人と一緒にコミュニケートしながら働くことを推進はしています。

芹澤:少しずつでも、意識が変わっていけばいいなと思っています。

◆日本語学校というビジネスモデルの問題点

日本語学校の闇とは?

岡田:この本のもう一つの大きなテーマは、日本語学校の問題だと思います。多くの日本人も薄々気づいていたと思いますが、本を読んで「ここまで酷いのか」と驚いたのではないでしょうか。

芹澤:もちろん良い学校もあります。でもほとんどの学校はまず学費が高い。一年間で70~80万円です。そして、生徒に対する先生の数がどう考えても少なすぎるんです。1人で生徒を100人抱えている先生もいます。どんな授業をしているのかと思います。実は今回、取材をアプローチして了承してくれた学校は1校もありませんでした。

岡田:そもそも日本語学校とは、日本に来た外国人に日本語を教える学校ですよね。彼らのモチベーションの源泉は、日本語を学んでいずれは日本で働きたい、日本の会社に就職したい、あるいは日本の大学、専門学校に進学したいとか、そういうことですよね。

芹澤:はい。もしくは母国に帰ったときに日系企業で働きたい、日本とつながりのある仕事を起業したいという人たちです。

岡田:いずれにせよ、日本に強い興味を持っているからこそ日本語を学んでいる。本来そういった学生さんに対しては、できるだけ経済支援やキャリア支援をするのが学校法人たる日本語学校の役割だと思います。そうではない学校があるのですね。

芹澤:はい。中には学校法人ですらないところもありますが、違法ではないようです。その辺は文部科学省さんしっかりして下さいと思うんですけど。

岡田:増えすぎて文部科学省も対応しきれていないのですね。

芹澤:管轄しているのは文部科学省ではなくて法務省になります。現状、日本語学校を管理はできていないのに、「留学生30万人計画」という国の方針があるので、留学生を受け入れる日本語学校には政府から補助が出ているのです。

岡田:申請すれば助成金をもらえる。

芹澤:もらえます。だから去年1年間で80校も増えています。つまり旨味があるビジネスだと思うんです。日本語を学びたい生徒から授業料をとり、日本語教師になるためのコースも設け、日本語教師の給与は低めに設定し、教師の数を少なくするというビジネスモデルです。

岡田:教える側の先生には資格が必要なのですか?

芹澤:必要です。日本語学校がその資格をとるための予備校のようなこともしています。日本語教師を目指す人には志のある、ボランティア精神にあふれた、日本語を教えることで喜びをうるような、誠実な人が多いです。

岡田:素晴らしいですね。でもそこにつけ込んでいる輩がいるわけですね。ところで、この本に「人材派遣業界化する日本語学校」という章がありますが、これはどのような意味ですか?

芹澤:外国から留学生が来ます。彼らはアルバイトもしたい訳です。そのアルバイト先を日本語学校が紹介し、自分たちが斡旋業者になるのです。

岡田:人材派遣の免許は持っているのですか?

芹澤:持っていない学校もあると思います。

岡田:言葉は悪いけどやくざのピンハネみたいですね。

芹澤:そうです。あまりに酷いケースは摘発されますが、ぎりぎりのところでやっている学校も多いと思います。もちろん人材派遣業の免許を持っている日本語学校も存在していて、明らかに人材派遣業の延長で日本語学校を運営しているところもあります。ビジネスですから、それは問題ないのかもしれません。ただ教育機関としてどうだろうと……うまく言えないのですが。

岡田:理念とかそういう問題でしょうか。もちろん民間の法人なので利益追求はある程度必要ですが、あまりに教育に対する理念が感じられないということですね。

芹澤:全く感じられないです。それに日本語教師になりたい人の良心を踏みにじっているような印象を受けます。実際、日本語教師になっても忙しすぎて疲弊して辞めていく人が本当に多い。給料も安いです。数カ月~1年ぐらいは頑張ることができてもやはり続きません。

岡田:ある種自由競争のメカニズムが働いてしまっているのでしょうね。でも、これだけ政府が外国人を呼び込んでいるにもかかわらず、なぜ日本語を学ぶ公立のパブリックスクールや大学の学科が増えないのでしょうか。

芹澤:日本が移民を正式に受け入れていないからだと思います。移民政策を進めている韓国では、韓国語を教えるスクールがあり、ある程度の言葉を覚えたら仕事を紹介するシステムができています。

岡田:基本的に移民という問題がクリアされていないので、国公立大学の枠などを広げることはできない訳ですね。

芹澤:そうだと思います。

◆人事担当者として外国人社員にどう向き合うか

岡田:これから日本の企業で働く外国人はますます増えていくと思います。人事担当者はどのようなことに気をつけたらよいと思われますか。

芹澤:まず人事担当者として彼らを迎える前に、1人の日本人として外国人と接する機会を増やすことだと思います。おそらく距離感が縮まると考えます。そして、ゼロベースから変えていくのは大変ですが、まず1人か2人でも採用していくと企業の空気も変わるのではないでしょうか。今のまま優秀な人材をみすみす国に返してしまうことは企業にとっても損失だと思います。

岡田:以前はIT企業がインド人技術者を積極採用していましたが、結局彼らもほとんど帰ってしまったそうですね。

芹澤:いざ働くとなれば、宗教や食べ物の話も出てきます。イスラムの人たちは日に5回お祈りをしますし、ラマダンの時は食事をしないなど初めて知ることも結構あると思います。

岡田:そういう場面に直面したときに我々がどう反応するかですね。「合わせろよ」「ここは日本だぞ」なんて言ったらアウトな訳ですよね。

芹澤:それこそ、パワハラの問題になると思います。もう一つ、外国人を採用するときに必要以上にスキルを求めるという話も聞いています。要するに「外国人枠の助っ人」として留学生を扱っています。

岡田:プロ野球の「助っ人外国人」ですね。4番で採る以上はホームラン何本という話。

芹澤:そこを日本人の新卒の子をとるような感じにできないかなと思います。そういうふうに意識が変わっていけば何か変わっていくのかなと思います。日本人の新卒22歳だって、ほぼ何もできないじゃないですか。

岡田:できないです。それを一生懸命育てる。そこは過剰なのに相手が22歳のバングラデシュ人になると、とたんに「何本打てるの?」となる訳ですね。ある意味警戒心が強いのでしょうか。

芹澤:多分そうだと思います。ただ、日本人と同じような感覚で見てあげれば3~4年で戦力になる留学生は多いと思います。

岡田:極端なことを言えば、日本人の新卒と同じように扱えばいいということですね。食事などは別枠で対応すればいい。日本ではユニクロやソニーがグローバル採用にある程度成功しています。ユニクロは社内の公用語を英語にしたので日本人も外国人も横並びです。それは確かに一つの良い方法ですね。

芹澤:楽天もそうですね。もちろん、日本人同士で日本語で話していると居心地がいいですし、仲間内の感覚もわかるんですけどね。

岡田:阿吽の呼吸というか、空気を共有しやすいですね。日本はインテグラルといって擦り合わせていく文化があります。物を作っていくときに現場で細かく微調整をしていく文化がありますから。

芹澤:そうですね。日本人特有の空気感が出せるとスムーズです。僕も外国人スタッフと仕事をする時に「あ、これが通じないのか」と説明を難しく感じることはやはりあります。

岡田:でも、これからますます外国人が増えていきます。おそらく我々日本人のほうが歩み寄って、お互いの文化をすり合わせていくことが必要でしょうね。企業側としても上から目線で採用していくのではなく、彼らと擦り合わせていくことが大切になっていくと思います。

芹澤:おっしゃるとおりです。外国人に対して上から目線の企業は、多分これからは取り残されていくのではないでしょうか。

◆終わりに

岡田:最後に芹澤さんの今後の予定について教えて下さい。

芹澤:今は東京大学の外国人留学生や先生たちにフォーカスして、外国人エリートが日本に対してどう思っているのかというテーマで取材しています。今日も北京大学に合格したにもかかわらず「自由な研究がしたい」という理由で東京大学を選んだ中国人の東大助教授の方のお話を伺ってきました。

岡田:面白いですね。アカデミックフィールドで日本のポジショニングがどんどん低下していると言われる中、東京大学に来ている外国人エリートが日本をどう見ているのかは興味深いテーマです。外国人労働者というテーマでさらに3冊、4冊書けるのではないでしょうか。コンビニ外国人だけでなく、大学にいるアカデミックエリートもいれば、企業の中でもいろいろなことが起きています。まだまだ続きそうですね。

芹澤:実際、取材をしていると新たな発見が多く面白いです。今、最先端のまさに動こうとしているところと触れ合っていると感じます。

岡田:これからさらに芹澤さんがお忙しくなると思い、今回は早めに声をかけさせていただきました。以上で終わります。どうも有難うございました。

収録後の1枚!お疲れさまでした