「人材マネジメント基礎講座」は、人事担当プロの養成機関として、2002年に開講されました。以来、受講者は700名余名となり、人事分野全般の基礎理論と他社事例から学び合い、人事担当者の基礎形成とネットワークづくりの場を提供しています。
 第37期が、2019年6月6日(木)から始まりました。講師は、トリプルウィン・パートナーズ代表の目黒勝道氏です。初回は、講座全体のオリエンテーションと、第1講「人材マネジメントの仕事とは」でした。第1講の様子をご紹介します。

基礎講座の目的とねらい

 基礎講座のねらいは、1)人事全般の基礎(分野と諸機能)を体系的に学ぶ、2)ワークショップを通して、他社の人事事例を学び、ネットワークを構築する、3)現役の実務家から人事担当プロフェッショナルのあり方を学ぶ、の3点です。

基礎講座37期開講

基礎講座37期開講

 受講生は、6月から8月にかけて、12回の講義を通して、人材マネジメントの基礎について学んでいきます。

 第1講の「人材マネジメントの仕事とは」では、学習テーマである「人材マネジメント」の仕事を体系的な視点から理解する、ということもさることながら、これから長期にわたって、共に学習するメンバー同士の理解を深める、ということにも力点が置かれました。メンバーは、様々な業界、様々な規模の企業から派遣されてきています。

 人事の新任担当者が多いとはいえ、「小規模な会社で、人事・総務・経理なんでもカバーしなければならない」人も、「大企業なので、人事部門の大所帯で先輩も多い。自分の担当業務も明確」な人もいらっしゃいます。

 そこで講師の目黒氏は、講義の中で、「ダイアログ」というグループワークを頻繁に展開して、メンバー間のコミュニケーションを活性化させていらっしゃいました。テーマは「そもそも人事部門の仕事って何?」、「人事部門のクライアントは誰?」、「人材マネジメントって何?」、「人事部門の役割って何?」、「あなたの人事部門の現状は?」の5点。各テーマについて、グループでディスカッションし、その内容を全体で共有した上で、目黒氏が総括(及び補足)をされる、というスピーディな運びで、3時間の講義も、あっという間に過ぎていきました。

講師の目黒勝道氏

講師の目黒勝道氏

人材マネジメントって何?

 講義を拝聴して、一番印象に残ったのは、「人材マネジメントって何?」という目黒氏の直球の問いかけでした。「日本人材マネジメント協会の人材マネジメント基礎講座の第1講なのに、そう問いかける?」と最初は当惑しましたが、今では、実は一番奥深い問いかけなのだと思うようになりました。

 目黒氏は、「(これからの戦略的な)人材マネジメントとは、企業の理念やVisionの実現を目指して、長期的に企業の競争力と優位性を維持・強化していくために、採用・配置・育成などの雇用管理や就業条件管理、報酬管理を通してヒトの働く意欲を喚起し、その能力を最大限発揮させること」とまとめられました。

グループワークに取り組む受講生

グループワークに取り組む受講生

 従来、「人的資源(Human Resource)」や「人的資本(Human Capital)」という概念では、「資源」としての価値が強調され、「人」の存在がやや希薄だったわけですが、これからの戦略的な人材マネジメントでは、もっと「人の行動や思いを導き・支援する」という視点が必要になってきているそうです。

 この点は、たまたま6月に私が参加した別の研究会でも、海外の人材コンサルタントが指摘していました。彼は、「人的資源」とか「人的資本」という概念ではなく、「人材のポテンシャル(Human Potential)」を尊重し、実力を伸ばしていく、ということが大事だと話していました。

 「人材マネジメントって何?」という問いかけは、いつの時代も重要で、その時代の答えを考えつつ、日々、人事部門の業務に取り組むことが肝要なのでしょう。

 今年の人材マネジメント基礎講座を通して、受講生の皆さんが、どのような答えを見出していかれるのか、楽しみです。

取材・文:仲野 美佳(Insights編集部員)