「人材マネジメント基礎講座」は、人事担当プロの養成機関として、2002年に開講されました。以来、受講者は700名余名となり、人事分野全般の基礎理論と他社事例から学び合い、人事担当者の基礎形成とネットワークづくりの場を提供しています。
 前号では、第37期の初回の様子をご紹介しましたが、今号では、7月24日(水)に開催された第8講の「福利厚生」の様子をご紹介します。講師は、トーセイ株式会社の猪爪幸一氏です。

後輩から「福利厚生とは?」と聞かれたらどう回答する?

 基礎講座では、人事全般の基礎(分野と諸機能)を体系的に学びます。主な切り口は「雇用・採用・配置」、「評価・処遇」、「賃金体系と報酬管理」、「福利厚生」、「人材開発」、「労働法と関連法規」、「多様化人材マネジメント」です。

 基礎講座も中盤となった第8講「福利厚生」では、講師の猪爪氏の具体的でわかりやすい解説と、受講生の活発なグループワークが展開されました。

 グループワークの最初のテーマは、「あなたが後輩から、『福利厚生とは?必要?』と聞かれました。何と回答?」でした。グループでディスカッションし、その内容を全体で共有した上で、猪爪氏が、福利厚生の定義・目的等について解説されました。

 単に「福利厚生とは何か」という質問ではなく、「後輩から聞かれたら、どう回答するか」という質問であることが、非常に大事なポイントだと思いました。

 つまり、「福利厚生とは、企業が従業員とその家族の福利を充実させるために設けた制度や施設。保険・住宅・教育などに支出する賃金以外の諸給付や、社員寮・住宅、保養施設などの福利厚生施設がある」という定義・目的や、「法定福利厚生(雇用保険、健康保険、厚生年金保険など)と法定外福利厚生(住宅手当、家族手当、保養施設など)がある」という分類や、「経費処理が可能」だという特徴、とったことだけを求めているのではないということです。

 「後輩から聞かれたら」という設定は、「今の日本は、どのような社会情勢にあり、福利厚生関連でどんなことが起こっているか」といったことも付け加えてほしい、という期待が込められているのです。

 たしかに、「日本社会全般として、企業が総額人件費の圧縮と変動費化を進めてきた中で、法定福利厚生費の増加が大きな課題になっていること」が、「法定福利費が今後も増加していくと見込まれる中、法定外福利厚生をどう考えるか」という各企業の福利厚生施策の見直し・再構築につながるわけです。

意外と「奥が深い」福利厚生

 第8講のテーマ「福利厚生」は、その中では「地味」な分野です。しかし、実務経験豊かな講師の猪爪氏の解説を伺い、意外と「奥が深い」ことがわかりました。社会情勢の変化に対応してきた歴史がある分野であり、経営理念・方針に直結する分野であることなどを理解した上で、福利厚生施策に取り組むと、一味違うものになると思いました。

 特に、「老後資金2,000 万円」問題がクローズアップされるなど、「人生100年時代」到来に向け、「公的年金以外に、自助努力で老後資金を確保すること」が日本社会の関心事となっています。

 そうした中、企業の福利厚生施策は、社員の「在職中」から「退職後」までの人生設計サポートの一翼を担う、重要な役割を果たすことになります。「限られた費用で、法定外福利厚生施策をどのように展開するか」は、経営陣と人事スタッフの「腕の見せ所」です。

取材・文:仲野 美佳(Insights編集部員)


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