JSHRM会員の誌面交流の場として、会員の方から寄せられた自己紹介や日ごろ考えていること、問題・課題意識などをご紹介します。

キヤノン株式会社 永岡 博 氏

ゲスト:キヤノン株式会社 永岡 博 氏

 私のJSHRMとの出会いは2003年、新設された「人材マネジメント・アドバンス講座」に、当時のJSHRM理事でありました私の上司から、「行って来い!」と檄を飛ばされ、その第一期生として参加してからですから、かれこれ16年になります。

 同期生にはK社の小森さんや、A社の山本さんがいて、講師陣も前事務局の星さん、後に「労働法研究会」でお世話になることになるS大学の廣石先生やN社の高橋さんなどなど、多士済々でした。

 実は、その時期までは私は、主に、総務部門や開発部門、某省庁との有期合弁会社の管理部門等、人事も含む業務運営全般を担当してきましたが、上記合弁会社を予定通り清算した後に、人事本部の人材開発部門に異動となり、全社の新入社員から役員に至る各階層別の研修を担当することになりました。

 ちょうど人事制度をそれまでの職能給から役割給に変更した直後で、各階層のレベル感やミッションの違いを意識した階層別研修体系の構築途上でしたが、私の代で何とか形にすることができ、大きな達成感を味わうことができました。

 人が人を評価することの重要な側面が人材育成であり、育成の視点で人を評価することが極めて大切であることは、お恥ずかしながら人材開発部門に異動して始めて知った次第です。

 その時期は、色々な経験をしましたが、思い出深いのは、2004年の新入社員研修の中で、600名余りの新入社員全員を伊勢原の大山に登らせるという壮大な「大山プロジェクト」です。難易度がそれほど高くない山ですが、山登りに慣れていない人に照準を合わせ、地域の警察や消防、登山のプロ、会社の診療所スタッフなどに協力を仰ぎ、人事部門からも数十人のスタッフを動員し、万全の体制で、グループワークとしての登山を経験させ、その中での励ましや、リーダーシップ、連帯感、達成感などの気づきを共有させることが目的でした。当日の朝は雨模様となり最悪のコンディションでしたが、徐々に雨も上がり、何とか一人の落伍者もなく、プロジェクトを完遂したことは、今でも語り草になるほど大変なパワーが必要でしたが、私にとってはおおいに自信になりました。

 もう一つ思い出すのは、役員候補を育成する「経営塾」で、第一期、第二期の立ち上げに携わりました。経営のみならず、歴史、科学技術、日本文化など、各分野の第一人者を講師にお招きし、直接の薫陶を受けることで、経営層としての素養を磨いていただくことが目的でした。その講師の皆さんと直接接することによって、「一流に触れる」ことの価値を強く感じました。特に、某流派の茶道の家元のもとに伺い、塾生と共に京都のかなり著名な高僧の方のご指導による座禅修養と、茶道の先生方からお茶、お膳のフルコースをいただく際の所作を一から学ぶことにより、本当に貴重な体験をさせていただきました。

 こういった活動の中で、私が人事部門の仕事に携わる際のバックボーンになったのが、「人材マネジメント・アドバンス講座」で学んだ人事のエッセンスと、その後に、前出の同期二人と共に加入させていただいた自主研究会「労働法研究会」で共有した人事の現場でのケーススタディでした。アドバンス講座で学んだ知識について、研究会の中でそれがいかに実務で活かされているのかを、自分を含めたメンバーの生の声で共有することができる、素晴らしい「場」であると思います。

 そこで得た知識、経験、ノウハウを各階層別研修のコンテンツに反映することができ、何とか体系の構築に至ったのは、JSHRMの皆様との色々な出会いがあったからこそと心から感謝しております。

 現在は、企業年金基金に所属し、会社の退職金制度の一部の運営を担当しておりますが、最近、話題になった老後の2千万円不足問題にも直結し、大変やりがいを持って諸課題に取り組んでおります。今後も、JSHRMでの活動を通じ、生の人事の現場とつながり、今後の人事のあり方を模索しながら、自らもできる限り発信し、実務に反映して行きたいと思っております。

 今後ともよろしくお願いいたします。