過酷な労働環境で労働者を追い込むブラック企業が話題になって久しいですが、今やコンビニ、居酒屋、学習塾など学生アルバイトの現場でも過酷な労働環境が蔓延しています。ブラックバイトと呼ばれるこうした職場では、学業や就職活動との両立に悩む学生が多数存在します。ブラックバイトの過酷すぎる実態と処方箋について、ブラックバイトユニオンの坂倉昇平さんにお話を伺います。

ブラックバイトユニオン 事務局長 坂倉 昇平 氏

ゲスト:ブラックバイトユニオン 事務局長 坂倉 昇平 氏
1983年生まれ。静岡県出身。ブラックバイトユニオン事務局長。雑誌『POSSE』編集長。東京都立大学人文学部社会学科卒業。京都大学大学院文学研究科修士課程卒業。若者の労働問題に取り組むNPO 法人POSSEを2006年に立ち上げ、2008年には季刊の雇用問題総合誌『POSSE』を創刊し、編集長を務める(2016年9月に32号が発売)。2014年に若者の労働組合としてブラック企業対策ユニオン(現:総合サポートユニオン)を立ち上げ、その支部としてブラックバイトユニオン、個別指導塾ユニオン、エステ・ユニオン、介護・保育ユニオンなどの労働組合に関わっている。

聞き手・文:岡田 英之(Insights編集長)


「若者をむしばむ“ブラック”な働かせ方」

岡田英之(編集部会) 本日は、ブラックバイトユニオンの坂倉様にお越しいただきました。「ブラック企業」は既に皆さんご存じだと思いますが、最近は、「ブラックバイト」というキーワードも取り上げられるようになりました。アルバイトは学生が主だとは思いますが、広く言えば労働法制も含めて、人事に絡む重要な課題ではないでしょうか。
 まずは、ブラックバイトという問題がなぜ起こっているのか。そして、ブラックバイトユニオンを結成された理由などをお伺いしたいと思います。

◆若者を追い詰めるブラックバイト

坂倉昇平(ブラックバイトユニオン事務局長) 「ブラックバイト」という言葉自体は、学業に支障を来すような働かせ方をするアルバイト、ということで、中京大学の大内裕和先生によって3年ほど前に提唱されました。その後、ここ2年くらいで急速に拡大していった印象があります。
 私たちは、もともとはNPO法人POSSEで、労働相談などを行っていました。ですが、NPO法人では活動に限界があり、もっと会社に対して直接交渉を行い、改善を促すことができるようにと総合サポートユニオンという労働組合を結成しました。
 その際、ブラックバイトという問題があることを知って、支部として立ち上げたのがブラックバイトユニオンです。それ以外にも、エステ業界の改善を求めるエステ・ユニオンや、個別指導塾ユニオン、介護・保育ユニオンなど、業種別の支部があります。
 立ち上げた当初、ブラックバイトユニオンへの相談は、月10件程度でそんなに多くありませんでした。われわれはブラック企業対策に取り組む団体のネットワーク、ブラック企業対策プロジェクトに参加しているのですが、そこで学生アルバイトの労働実態について調査しました。その結果を、2014年に記者会見で発表したのですが、それが報道されるようになり、ブラックバイトという言葉が急速に浸透したと思います。そのあたりから相談も急激に増え、2015年度には約1500件にまでなりました。
 ブラックバイト自体は、ここ10 年くらいずっと起こっていた現象だと思いますが、「ブラックバイト」という言葉を与えることで急速に認識が広がり、ようやく日の目を見たと感じています。
 ブラックバイトユニオンへの相談で多いのは、「休めない」と「辞められない」の2つです。例えば、受験があるので辞めたいと言っても、「受験なんてどうでもいいだろう、契約期間が残っているのに辞めるなんてあり得ない」と責められたり。また別の相談でも、大学受験をするからシフトを減らしてほしいと相談したら、「おまえが大学なんて受けても無駄だ」と言われたり。どちらも大手チェーンのコンビニエンスストアでの話です。さらに、辞めようとしたときに、それなら新しく人を募集しなくてはいけないから、求人広告費を負担しろと損害賠償を請求されたようなひどいケースもあります。

岡田 でも、払う必要はないですよね。

坂倉 もちろんないのですが、実家にまで電話をかけて請求されるので、数万円なら払ったほうが楽になれると支払ってしまうケースが多いのです。
 このように、学業は個人の都合であって、仕事は社会人として責任を持つべきであるとか、期間途中で辞めるのならきちんと責任を取れなどと罪悪感をあおり、辞めさせない、休ませないというケースが非常に多いです。

◆重責を負わされるアルバイトたち

坂倉 相談が多い業種は、まずはコンビニ、スーパー、アパレル等の小売販売業、次にファミレス、ファーストフード、居酒屋などの飲食業、そしてピンポイントでかなり多いのが個別指導塾です。
 個別指導塾は、この20 年くらいのゆとり教育の中で急成長しました。主に学校の補習というかたちで、勉強が不得手な子に、学生のアルバイトが個別に勉強を見てあげています。集団指導塾の講師はそれなりのスキルや熟練が必要ですので、学生バイトを誰でも雇うということはありませんでした。ところが、個別指導であれば、指導内容をある程度マニュアル化できるということで、学生にも基幹的な業務を任せることができ、フランチャイズが一気に広がってきました。まさにブラックバイトによって成長したといっても過言ではないと考えています。
 どの業種にもそれぞれの問題がありますが、共通している背景としては、人手が少なく、学生アルバイトの責任や業務量が過剰になっているということです。象徴的なのがバイトリーダーといわれる存在で、学生アルバイトがシフト調整の責任者まで任されています。また、店舗や金庫の鍵すら学生が管理して開閉の責任を負っていたり、塾では教室長がおらず、学生だけで保護者対応までするようなケースも見受けられます。

岡田 企業で言えば管理職じゃないですか。POSSEの今野代表が、非正規雇用者の基幹化と言われているのもそういう話ですか。

坂倉 学生の戦力化とか、学生の基幹労働力化とか、言い方はいろいろありますが、まさにその話です。これまでは、基幹的な業務、重要な仕事というのは正社員に任せてきたのですが、そうなると正社員を増やさないといけないのでコストがかかってしまいます。そこで、基幹的な業務を解体し、一つひとつをマニュアル化することで、誰でもできるようにしたというのが、非正規雇用者の基幹化です。飲食にせよ小売りにせよ個別指導塾にせよ、いわゆるサービス業は何らかの技術によって生産性が上がる業種ではありません。現場で働いている一人ひとりの人件費を切り詰めることが、利益につながります。
 そこで、人件費を下げて、1人当たりの仕事量を増やすという点を追求するようになってしまうのです。学生バイトであれば、低賃金でも文句を言わないし、基幹的な仕事を任せてしまおうと。
 ただ、サービス業が利益を上げようとすると、放っておけばそういう方向へ向かうのはある意味、やむを得ません。経営戦略的には合理的なやり方ではあるのです。これまでは、学生は学業も大事という社会的な常識があったと思いますが、今は利益優先になってきています。労働組合のような団体がないので歯止めになるものがなく、学生をいくらでも使いつぶせるような状況になってしまうことが問題だと捉えています。



◆フランチャイズの構造が原因?

岡田 昔は、試験期間は休みたいと早めに言えば、ある程度は融通してもらえたりしていましたよね。経営側の視点を考えると、今挙がった業種はここまでしないと利益が出ない、つまり学生も戦力化しなければならないほど追い詰められているとも言えるのではないでしょうか。

坂倉 それは大きいと思います。飲食や小売業、塾にしても、日本で特に成長している産業です。ヨーロッパでは、24時間営業のお店はあまり聞かないですし、学校の代わりに塾で補習するというのもかなり特殊だと思います。

岡田 先ほど、個別指導塾のフランチャイズ化が進んだという話もありましたが、コンビニにせよ飲食にせよ、フランチャイズ型の経営スタイルこそが、ブラックバイト問題を引き起こす原因の1つなのではないですか。
 少し前に、『コンビニ店長の残酷日記』という本が出たのですが、このタイトルに象徴されるように、フランチャイズのオーナーはかなり追い込まれているのでしょうか。

坂倉 多店舗展開しているところだと、オーナーよりも店長のほうが大変なようです。でも、1店舗で店長兼オーナーをしている方は、まず追い込まれているでしょうね。

岡田 今、ミドル層、40、50代の男性が人員削減で職場を追われ、フランチャイズのオーナーにキャリアチェンジするケースが増えていると聞きます。実は、その先にブラックバイトをはじめとする社会問題が内包されているのではないでしょうか。

坂倉 確かに、学生バイトが被害に遭っている小さいフランチャイズの店舗では、店長やオーナー自身もかなりハードな働き方をしているというケースがよくあります。また、店長やオーナーに転職してきた人には、全く社会常識のない人もいたりします。
 私たちが対応している案件で、大学生のアルバイトが、4カ月連続で1日も休まずに働かされ、その上、殴られ、首を絞められたという事件があります。これはブラックバイト初の提訴ということで、記者会見も行いました。そこの店長自身も、8カ月連続、無休で働いていたそうです。暴力は到底擁護できませんが、店長自身も負担を抱え、精神的に追い詰められていたせいで、暴力に頼ってまで学生を拘束していたのだとも考えられます。そういった、常軌を逸したことまで起こってしまっているのです。

岡田 追い詰められた経営側からの相談というのはありませんか。

坂倉 ブラックバイトユニオンにはありませんが、総合サポートユニオンのほうには、大手コンビニなど、フランチャイズの店長からの相談はあります。大手個別指導塾の教室長からは、自分自身もぼろぼろになってしまっていて、それでも、学生に無理を強いるのが心苦しいという相談がありました。でも、そうしないと、自分が長時間タダ働きをすることになってしまう。
 学生に負担を押しつけてブラックバイト化させるか、自分自身がブラック企業の社員として働くか、その中で悩む方もいるのです。そうでない人は完全に割り切ってしまって、自分だって苦労しているのだから、学生がもっと頑張るのは当たり前だと押しつけてしまうのでしょうね。
 フランチャイズという仕組みの中では、利益を上げるために現場でどれだけ賃金を減らすかが追求されてしまいます。それが、ブラックバイトという現象につながってしまっているのかもしれません。

◆増加する給料水増し表記

岡田 ブラックバイトとは異なりますが、最近、偽装求人という問題も若者労働者を困らせていると聞きます。
 昔から、入社してみるとサービス残業が実は多かったとか、目に見えない労働条件みたいなものはあったと思います。偽装求人というのは、明らかに書き方がおかしくて、労働基準法違反という話なのでしょうか。それとも、書面上は巧みに隠されていたりするのでしょうか。

坂倉 最近多い相談は、いわゆる固定残業代についてです。昨年、訴訟して和解になった案件があるのですが、ある不動産営業会社で、ホームページでは基本給は30万円で募集されていました。ですが、入社翌月の給与明細を見ると、30万円のうち15万円が残業代だったということで、求人の段階で給料をごまかしているというケースでした。

岡田 15万円分の残業代が含まれているから、その分の残業は当然やらないといけないということですか。効率よく仕事をこなして早く帰ると、給料が減ってしまうのでしょうか。

坂倉 そもそも早く帰れるという状況がないのですが、その不動産会社の例では、月140時間残業したとしても、その上乗せ分は支払われていませんでした。固定残業代を基本給に入れている会社では、その残業代分より残業時間が少ないというケースはまずありません。さらに、固定残業代分を超えて残業しても、その分は支払われないのがほとんどです。こういった、基本給をごまかして求人を出すのは、求人詐欺問題の中でも特に象徴的なやり口です。
 最近は、このやり方はおかしいということで、ハローワークでは、基本給や残業代は分けて、固定残業代を超えたら払われるのかどうか等も明記しないといけないということになりました。ですが、求人サイトではいまだに固定残業代を含めた基本給表記が続いています。
 ただ、リクナビ(ある求人サイト)では、社会的批判を受けて対応を変えていると聞きました。また、全国求人情報協会という業界団体が、求人サイトでも基本給に何が含まれるのかをきちんと表記しなくてはいけないという要請を業界全体に対して出すなど、ようやく情勢が動きつつあります。

◆法の抜け道を悪用した求人行為

岡田 では、以前はハローワークもチェックしていなかったし、大手求人サイトでは今でも堂々と掲載されているのですね

坂倉 そもそもは、固定残業代という給料を底上げして見せる手法自体が、最近になって出てきたものです。求人と実態が異なっているというのは日本ではよくある話で、労働条件については会社任せ、白紙委任で、どんな仕事でも、何時間働くことになっても、どこで働くことになっても、会社にお任せしますという状態でした。しかしそれは、会社がある程度まで育成してくれて長期雇用が保証され、年功序列の賃金が前提だったから成立していたことなのです。
 現在のように、正社員であっても2、3年で使いつぶされてしまうブラック企業が増えている中では、労働条件を会社に丸投げするのではなく、応募時に自分で確認しないと、自分自身を守ることができません。
 一方で、意図的に、募集時に見せる労働条件を、実態と変えてくる企業も増えてきています。ブラック企業では、正確な労働条件が分かると人が来なくなってしまいます。そこで、求人広告で見せかけの賃金を高くすることで、実際の労働条件をよくしなくても、人を集めることができるという手法がはびこっているのです。
 象徴的な話として、『就職四季報』という東洋経済新報社が出している雑誌があるのですが、今年から初任給の内訳を書く欄ができたのです。すると、掲載自体を取りやめる会社が出てきました。
 大手のある会社は、もともと月給30万円で、「残業時間が40時間を超えると手当てが増えます」と記載してあったのです。パッと見、残業が増えると手当ても増えるならいい会社のように思えますが、つまりは月給の30万円に40時間分の残業は含まれているということをごまかしているだけなのです。大手でも、こういうずるいことをする会社があって、ここも就職四季報への掲載を取りやめています。
 固定残業代なんて、そもそも会社が事実を隠す以外に何のメリットもありません。あとは、月給30万円のうち、実は基本給が15万円とすると、15万円は最低賃金の時給になるので、残業代をあとで裁判で請求されても被害を最小限に抑えられます。このやり方は、一時期、社会保険労務士が本などで解説していました。固定残業代が出てきた背景の1つには、そういった、必ずしも違法とはいえない抜け道を器用に指南する社労士の存在もあります。講演などでも、残業代を節約する方法として、社長さんたちに推奨していたようです。

岡田 人事担当者は、そのやり方はよくないとは言わないのでしょうか。

坂倉 社労士が言っているから、大丈夫だろうと考えるのではないでしょうか。昔からあるような大企業で、人事がしっかりしているところはもちろんそんなことをしません。サービス産業の企業は人事の労務管理がしっかりしていないことも多く、これで残業代を節約できて、違法ではないと言われれば、ついやってしまうということだと思います。

◆内定時点での労働条件提示

岡田 企業は競争原理の中で利潤を上げていくわけですが、このようなルールを逸脱した競争はよくないですね。

坂倉 こういったやり方は、労働市場をゆがめてしまいます。ブラック企業がずるいやり方で人を集め、なかなか辞められないように追い込んで仕事をさせる。そして、ぼろぼろになるまで使いつぶして辞めさせる。それでも、給料をごまかして求人を出すと、また新たな人材は集められる。
 そういったやり方が広まると、若い労働者はどんどん使いつぶされ、さらにきちんと給料を公表して募集するような優良企業に人が集まりにくくなってしまいます。優秀な若者がそういうブラック企業に入ってしまうと悲惨ですし、優秀な企業も競争に勝てなくなり、社会的な損失がかなり大きくなります。従来と環境が変わってきているのですから、労働条件を明確に提示すべきというルールをつくっていかなくてはいけないと思います。
 最近あった相談で、入社直前の3月に、会社に背いてはいけませんといった言葉を復唱するような、いかにもブラックっぽい研修にいきなり参加させられたという方がいました。入社してみたら、内定時の話と給料も全く違い、パワハラもはびこっているような企業だったようです。
 最初から知っていれば、内定の段階で別の企業を選んでいたのに、入社ぎりぎりになって実情を知っても、なかなか辞めることはできません。こういった状況からも、内定の段階で労働条件書を提示するように義務づけられないのかなと思っています。若者の労働力の損失を防ぐためにも、考えるべき対策ではないでしょうか。

岡田 昔から変な研修というのはありましたが、人材をきちんと育成しようという思いはありましたよね。今は、変な研修にしても狙いが違って、明らかに使い捨てを計算してしまっていると。

坂倉 完全に、そのための研修です。研修で人権意識を剥奪しておいて、あとは入社後に給料が違っていても文句を言わせないというプロセスになってしまっているのです。ですから、まずは、内定段階で労働条件を明示するようにし、学生自身も、それをきちんと確認する意識を持つことで、自分の身を守るしかないのです。

◆権利行使はアルバイトでも可能

岡田 では、労働法教育などを充実させていく必要がありますね。

坂倉 そうなのですが、大学や高校の教員がやるのは難しいですし、厚労省が労働法教育の出前授業を行っていますが、実践的に使える内容かというと疑問が残ります。就職の際や、ブラックバイトの問題にぶつかったときに、きちんと役立つような労働法の知識、実践の仕方を教えなくてはいけません。ブラックバイトにしても、基本的には違法ではないものの、これは断っていいんだときちんと主張できるように、権利を行使することを身につけてもらう必要があります。
 そういう意味では、ブラックバイトというのは1つのきっかけにはなります。アルバイトを経験している若者は多いので、その中で、こういう場合は、こうやって権利を行使すればいいという実践的な練習を行っていると考えることもできます。むしろ、学生のアルバイトは生活が必ずしもかかっているわけではないので、ブラック企業の正社員に比べれば、権利を行使しやすいのではないでしょうか。

岡田 将来に向けて、いい実戦経験の場になりますね。

坂倉 私たち自身も、学生のうちからそうやって権利行使できるということを、もっと広めていきたいですね。ブラックバイトで団体交渉を行ったり、提訴をしたりしているのも、学生でも権利行使をするのは当たり前なんだという、社会的な雰囲気をつくることも目指している面もあります。

岡田 労働者としても、健全なかたちで自立しないと駄目だということですね。

坂倉 これまでは、社会に対するある種の信用があって、それに依存している面がありました。もう信用が成り立たないというか、白紙委任ではあとで痛い目に遭うことが増えている現状では、契約を対等な立場で行って、信頼関係をつくれる企業で働けるようにすることが一番いいわけです。それが理想というか、そういうことが望まれているのではないかと思っています。

◆労使交渉から逃げないで

岡田 では最後に、読者である人事担当の皆さまに、メッセージをお願いいたします。

坂倉 いろいろあるのですが、きちんと組合対策をしてほしいという思いが大きいです。企業がきちんと対応してくれない以上、私たちは行政に指導を依頼したり、メディアに働きかけたり、社会的に動かざるを得ないのです。そのやり方は、企業にとって必ずしもいいことではないですし、私たちとしては、普通に交渉して改善されるのであれば、大きな問題にするつもりはありません。最初から、交渉の場で解決すればいいものを、そこから逃げようとするから、混乱が深まってしまうのです。

岡田 それは、逃げているというか、何かでもめたときに、経営者と労働者が労使交渉という手段を用いて話し合うとことを知らない、もしくは、そのスキルがなくなってしまったのではないでしょうか。

坂倉 そうですね。社会的な問題にされてから、初めて動く会社が多いのですが、そうすると会社の売上が短期的に下がったりする可能性があるとか、そういった視点で会社のことを考えられないのかもしれません。組合は、会社と必ずしも敵対するわけではなくて、働きやすい環境にすることを目指しているだけなのです。話し合いで改善できたのであれば、そういった好事例はどんどん発信していきたいとも考えていますので、ぜひ交渉に応じていただきたいと思います。

岡田 本日はありがとうございました。