2011年より実施しているリサーチプロジェクト活動の一環として9月14日、PwCコンサルティング合同会社丸の内オフィスの会議室にて「若手が躍動する“自燃サイクルモデル”」と題したシンポジウムが開催されました。2016年度よりプロジェクトのテーマとしている「若手のキャリア」についての中間発表と、若手が躍動しているアイリスオーヤマ株式会社、株式会社ファースト・コラボレーションの事例発表、ゲストスピーカーとプロジェクトメンバーによるパネルディスカッションが行なわれました。
取材:インサイト編集部員 土田 真樹子
◆プロジェクト研究中間発表
リサーチプロジェクトメンバーである大橋歩氏の司会により開会し、最初にプロジェクト研究の中間発表がされました。リサーチプロジェクトでは、就業から引退までのキャリアを大きく3つに分け、ミドルは「仕事を取りに行く」フェーズ、シニアは「かわいい」フェーズと定義して提言を行なってきており、2016年度からは若者のフェーズをテーマとして研究しています。
前半は同メンバーである松浦民恵氏より「若者のキャリアを巡る現状」の分析結果が発表されました。「チャレンジ精神のある社員が少なくなっていると感じる」「指示されたことだけをやっている社員が多い」など、求められる人材像と逆行する若手の現状をさまざまな統計を元に紹介。インターンシップなど就業準備の環境が改善していることから、「企業による手厚い採用・育成活動によって、逆に若者の主体性が損なわれ、今まで以上に育成が必要となる負のスパイラルが起きている」という研究会での分析結果が発表されました。
後半は同メンバーの平林正樹氏より、これまで企業で行なわれてきた「育成」から、活動の場・チャンスを見つけて自分で燃えられる「自燃(ジネン)」の観点への転換の必要性が示され、「自燃とは何か」を説明するツールとして、「自燃」の観点からみた人材タイプや、「自燃サイクルモデル」を使った全体像が提案されました。今後「自燃サイクルモデル」を実践するために必要な自燃行動の測定や促進要因・阻害要因の明確化などを研究していくとの報告がありました。
◆若手が躍動する企業の事例発表
最初にアイリスオーヤマ株式会社人事部統括マネージャーの倉茂基一氏より同社の人材育成についてお話をいただきました。毎年1000点の新商品を発売し、売上に占める新商品比率が60%以上という同社。商品開発会議は関連部署が全員で集まり、社長がその場で一つ一つの案件をスピード決裁しています。この会議は、社長の目線や判断基準を全員が共有することで人材を育成する効果もあります。
同社のマネジメントのポイントは、「リスクを恐れず、果敢にチャレンジ」「実力主義の任せる経営」だといいます。それらを実行する環境づくりの一環として、「情報がサラサラ流れる組織」にするための仕掛けをいくつか紹介いただきました。さらに必要なのは、社員の能力を公正に評価すること、成長実感を与えるジョブローテーション、報酬などの外的動機付けから社会貢献などの内的動機付けへの移行などの必要性をお話しいただきました。
次に株式会社ファースト・コラボレーション代表取締役武樋泰臣氏よりお話いただきました。経済産業省の「第1回おもてなし経営企業選」「第3回ダイバーシティ経営企業100選」「第5回日本でいちばん大切にしたい会社大賞審査委員会特別賞」などを受賞している同社。毎年全社員参加の経営指針夏合宿を実施し、「一人一人が主役になる会社」「儲ける会社より、ノビノビわくわくする幸せな会社」を目指していて、最も大切にしているのは組織と個人の深いつながりや組織に対する愛着心といった「エンゲージメント」だといいます。そしてその前提には、会社が理念と方向性を明示していることと日常的なコミュニケーションだとお話いただきました。
若手のみならず社員皆さんが躍動していると見受けられる2社に共通しているのは、確固たる経営理念を持ち、その理念や目標を全社で日常的に共有し、それに沿った事業を行なっていること。またリスクを恐れずチャレンジし、チャレンジさせ、人事領域に関して手間をかけていること。若者の主体性を引き出すヒントになったのではないかと思います。
◆パネルディスカッション
ゲストスピーカーの倉茂氏、武樋氏に、同メンバーの泉田洋一氏を加え、同メンバーの黒澤敏浩氏をモデレーターとして、「自燃」のコンセプトや課題について議論がなされました。「自燃」を実現するためには「気づき」が重要であるということが複数の方から聞かれ、課題としては、各自のベクトル合わせや目標設定、不燃になってしまった人材をどうワクワクさせるかなどが挙げられました。また自信をつけさせることや自己肯定感を持たせることが「自燃」の一歩ではないかとの意見も聞かれました。
シンポジウムの最中に武樋氏のお孫さんが産まれたとの連絡が入り、会場から拍手が起こるなど、和やかな雰囲気で会は進み、総括としてリサーチプロジェクト担当の山崎京子氏、JSHRM会長谷川和生氏が閉会の挨拶をしてシンポジウムは終了しました。その後、同会場にて懇親会が開催され、登壇された方と参加者とのコミュニケーションの場となりました。

シンポジウム終了後に記念撮影
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- JSHRM活動報告:リサーチプロジェクト・シンポジウム「若手が躍動する“自然サイクルモデル”」
- NEWS LETTER 事務局から
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