JSHRM会員の誌面交流の場として、会員の方から寄せられた自己紹介や日ごろ考えていること、問題・課題意識などをご紹介します。

馬場(山本)史織
ゲスト:ライオン株式会社 人材開発センター 馬場(山本)史織 氏
会員のみなさまはじめまして。2013年から入会しております馬場(山本)史織と申します。この度、「会員の部屋」の執筆機会をいただきましたので、自己紹介と人事の仕事を通じて最近感じていることをご紹介いたします。
【自己紹介】
人事の仕事をはじめて18年目になります。このうち10年間はタレントマネジメント全般としてリーダー人材の選抜・能力開発・配置登用に関わる一連の業務に長らく携わってきました。直近3年間は、役員報酬や人事制度の設計を担当しています。
自身のJSHRMでの活動としては、2013-2014年にかけて「人事の役割」をテーマとしたリサーチ・プロジェクトに参加し、人事管理の在り方や人事の役割についてイノベーションとダイバーシティという2軸でモデル化し、変革の方向性を考えるプロジェクトに取り組みました。そこでの気づきや学びが、グループ会社を束ねる持株会社の人事部門でマネージャーを務めた際には大変役立ちました。
個人としては、昨年の秋にこれまで新卒で入社して20年間在籍した会社から現在の会社へ転職し、今は1年目です。長らく同一の組織に居たことで培われた経験、人脈、勘に頼ってこれまで仕事をしてきてしまったことを痛感。一つひとつの人事の仕事の意味や本質は何なのかを改めて考える良い機会となっています。
【最近の問題意識「ビックワードに要注意!?」】
「ジョブ型」という言葉に代表されるように、人事の世界における大小さまざまなワード(例えばふと思い浮かぶ言葉としては、人的資本、ダイバーシティ、ウェルビーイング、エンゲージメント、ノーレイティング、OKR、1on1…etc)の本質的な意味を自分は十分に理解できているか?自社の経営戦略実現において何は必要で何は不要なのか。自社らしさのために時流にあえてのらない判断も含めて、自分自身は本当に十分に考えられているか??最近、いまさらながら気になりはじめました。
先日、統合報告書に記載されている人材ページを複数社並べて眺めてみたのですが、どの会社も同じような人事課題を設定し、自社と類似の施策に取り組んでいるな…と改めて認識したことがきっかけです。
いわゆる人事の世界における頻出のビックワードに流されて、時代の潮流にのらなければと個々個別に取り入れて、気づけば自社らしさや他社との違いがすっかり無くなっているようなことが起きるかも…という懸念を持ちました。
人事部門はかつてないスピードで変革を求められ、経営陣からの期待とリクエストが増え続けていると思います。それは非常に刺激的で面白い環境である反面、スピードや変化適応を意識しすぎると、近視眼的になりがちで、施策導入が目的化されやすいかもしれない。時代の潮流に乗り遅れないようアンテナをはりつつも、ビックワードを無自覚に取り入れるのではなく、本質的な意味を自分流の言葉で伝えられるレベルで理解し、取捨選択をできる賢い人事でなければならない。このことを最近は自分自身に改めて問うています。
【さいごに】
気づく力を失わないためには、会社の仕事にだけ忙殺されていてはいけないなと危機感を持った次第です。今後はJSHRMでの活動機会を増やしたいと思っておりますので、気軽に声をかけていただけましたらうれしいです。
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