夏号の特集は、『人事部解体新書』ということで人事部の実態に迫ります。“人事って何をしてるの?”、“人事部ってどこにあるの?”、“人事って役にたっているの?”などなど。他部門・組織から見ると、正直実態がよくわからない存在が人事部なのかもしれません。また、これまで何度も人事部不要論が議論され、そのたびごとに組織や役割、人材が検討されてきました。特に90年代以降は、日本型雇用慣行の限界と成果・業績主義、経営のグローバル化に対応すべく組織・人事マネジメントのパラダイムシフトを模索する企業・組織が増加しました。当然人事部にもチェンジエージェントとしての役割が期待され、変革の推進者として、自ら変化を作り出し、組織にイノベーションを起すことが要求されました。
 20年以上が経過し、結果はどうなったのでしょうか?組織にイノベーションが生じ、組織変革がなされたのでしょうか?
 勿論、現在進行形であるという企業・組織もあることでしょう。しかし多くの企業・組織では、なかなか目覚ましい成果を出すことができていない状況ではないでしょうか。昨今ではこうした期待役割に加えて、働き方改革の推進という役割も加わりました。人事部には企業・組織マネジメント上大変重要な役割が数多く課されているにも関わらず、他部門・組織からの見え方や評価は芳しくないようです。芳しくない理由を考えてみますと、人事部の実態が正しく伝わっていないことが大きいように思われます。特に、人事部員が自らの企業・組織をどう捉え、そこで働く仲間と何を共有し、将来に向かいどのような道程を描いているのかについて知る(情報と考え方の共有)機会は意外と少ないのかもしれません。
 今号の特集では、人事部に造詣の深い専門家お三方にお話を伺いました。各々の視点から人事部や人事機能について総論・各論自由闊達に語って頂くことにより、ゼロベースで人事部を捉え直す際の新しい視座が提供できれば幸甚です。また、人事に携わるベテランの方は勿論、中堅・若手の方、そして人事部門以外の方々にも、この機会に自社・自組織の人事部に再注目して頂き、人事部員と自由闊達な意見交換をして頂くことを期待致します。
 私たち日本人材マネジメント協会は、人事のプロフェッショナルを養成することをミッションのひとつとして掲げております。これまで人材マネジメント基礎講座、各種研究会やセミナーを通じて、必要な知見を提供してきたつもりです。しかしながらこれまでの取組みでは不十分であると認識しております。今後は、人事のプロフェッショナルとはどんな存在であり、何が求められていくのかについて協会一丸となって真剣な議論を戦わせて参りたいと思います。会員の皆様のご支援よろしくお願い申し上げます。

岡田 英之

JSHRM Insights編集部会長 岡田 英之

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