JSHRM会員の誌面交流の場として、会員の方から寄せられた自己紹介や日ごろ考えていること、問題・課題意識などをご紹介します。

株式会社アイエスエイプラン 坂爪 昭 氏

ゲスト:株式会社アイエスエイプラン 坂爪 昭 氏

1.はじめに

この原稿を書くにあたって、「私がJSHRMに入会させていただいたのはいつからか?」とメールログを探ってみたところ、「2018年3月」に入会ということが分かり、まだ3年弱しか経っていないということに驚きました。この驚きの原因は、3年弱の経歴にも関わらず、密度の高い時間の過ごし方をさせてもらっていることだと思い、今回は私のJSHRM入会からの「振り返り」を記述させていただきたいと思います。

2.JSHRM入会

私がJSHRMに入会する契機となったのは、自身の所属する会社が拡大するにつれて、人的資源管理的な経営課題が多く発生するようになり、この解消のための対策を行う執行領域を任せられたことから始まりました。
当時の会社の状況としては、社員数50人程の規模感の中で、リクルートマネジメントソリューションズ社の示す「属人的な貢献による成長」に頼り、「属人的な運営の限界」を感じており、特に人的資源管理における経営課題が浮き彫りになっていました。

(引用:リクルートマネジメントソリューションズ「成長企業の組織・人材マネジメント」https://www.recruit-ms.co.jp/issue/feature/0000000508/

当時の私は、バリバリのITエンジニアのキャリアを歩んでおり、クライアント企業に常駐をしながら、ITにおける事業課題を抽出し、そのソリューションをITによって行うということを専門的に行っていて、「人事」という言葉さえも無縁の世界にいました。しかし、ある日「クライアント企業の課題が解決できるなら、自社の課題も解決して欲しい」という弊社代表からの要望により、この自社の人的資源管理への課題に向き合うことになりました。

社内には「人事」を扱う部署は存在せず、ナレッジは存在しないため、「分からないことは社内の人事部長に聞け!」のような対応はできない状態にありました。こういった未知のことを考える際には「1.書籍(活字)から得る」または「2.識者(伝聞)から得る」しか手段がないと考えた自分は、それぞれの手段を試しましたが、とある会合にて倉重理事にJSHRMにお誘いいただいたことが入会の契機となりました。

3.入会をして

JSHRMに入会して強く印象に残ったこととしては、上場している大手企業の人事担当の方が他のコミュニティに比べて多く在籍されているということでした。これはJSHRMの伝統に紐づく強みだと思っています。

大手企業の人事担当の方と話すことによって、当たり前ですが、大手企業には既に整った労務管理制度が存在し、法制度にも適応ギリギリの自社との差異が浮き彫りにされました。その自社に足りないものに優先度順位付けをしていき、ひとつひとつ課題解決していくことが自社の労務管理制度を構築していくこととなっています。

労務管理制度においては、組織が拡大し、従業員数が増えるにつれ、労働安全衛生の管理や労使関係の管理の対応に悩まされることが多くなってきます。この制度自体は個社別に制度設計が大きく異なることが少ないために、既に整った制度を利用されている大手企業の人事担当の方からのアドバイスは、ゼロから導入を検討する立場の者にとって、実務経験の多いコンサルタントからアドバイスを受けているように感じられました。この気軽な相談相手と知り合えたことが今では自身の人的資産となっていると思います。

4.コンファレンス企画に参加して

入会して2年目に、ひょんなことから「JSHRMで実施している年次コンファレンスに企画から携わりませんか?」というお誘いを受けることになります。大手企業の人事専門職の方々の中で人事業界用語も使えない畑違いの自分は、勉強のためにも、周囲への迷惑も覚悟で、参画を希望させていただきました。

現在でも社員数100名程度の中小会社規模で、足りない人的資源管理制度をつくり続ける役割ですが、中小規模であるがために経営直結のソリューションを実施し、逆に自身の失敗は会社を傾けるインパクトを生じるがゆえに、そんな少し稀有な立場での意見や質問を企画メンバーにぶつけることができ、自身の知識・経験の少なさの再発見から、新たな課題発見にも利用することができました。

この経験をすることができ、新たな仲間と人事領域に関する新たな観点を身に付ける機会を与えてくださったコンファレンス企画メンバーには大変感謝しています。

5.これからのJSHRMに期待すること

私が「人事」ということばを知ることから始め、近年では以下の2点が気になっています。

  1. 「人事」という領域には、しっかりとした学術研究が進んでいるにも関わらず、それを蔑ろにして事務作業を行ってしまっている担当が多いこと
  2. 近年拡大するメガベンチャーでは、事業サービスの強みというものばかりが目立っていますが、裏では急速な組織拡大を支える人的資源管理制度を効率的に用意していること

自分は「どんな仕事をしているのですか?」と尋ねられた際に、「アスファルトを耕して、畑をつくる仕事をしています。」と答えるのですが、この人的資源管理の領域において、上記の2点などに興味関心を持ち、「アスファルトを耕す際の同じ悩みと愉しさ」を共有できる仲間ともっと出会えるとよいなと思っています。