2020年度 JSHRMコンファレンス開催について

本年度年次大会は 2021年2月13日(土)12時30分より、オンラインにて開催されました。コロナ禍により、初のオンライン開催となりましたが、オンラインの特性を生かし、登壇者や参加者が地域や国を超えて参加できたコンファレンスとなりました。

 今回のテーマは「今考えるべき人事 次の一手」。今年度は、COVID-19という強制的な外的環境変化に併せて組織内の環境を適応させることが人事にとって大きな課題だったと思います。重要なのは、その適応させる人事の活動を組織内の本質的課題の解決に繋げられていない組織と繋げることが出来た組織があることです。コンファレンスでは、未来が予測不可能な中で、人事は何を軸に考え、行動しなければいけないかを各セッションにて探索しました。
当日は六部構成で実施されました。

 第一部は、『人事の職分~変化との連帯』と題した、学習院大学名誉教授 今野 浩一郎 氏と法政大学キャリアデザイン学部教授 松浦 民恵 氏によるコンファレンス史上初の対談形式による基調講演でした。講演は、二人が師弟関係であることを活用して、課題を構造化したものに対して反対仮説を提示するというやり取りを即興で行う、知的刺激にあふれた「今野研究室」を再現する意欲的なプログラムでした。特に、人事が変化する前提として、変化する目的は変化に応じて必要な人材を適材適所に配置するということであり、それを分権化すべきかどうかは人事の情報の完全性に依るものであるという視座は、目から鱗でした。

 第二部では、JSHRM労働法研究会による『~テレワーク・新しい働き方・同一労働同一賃金に関する人事のホンネ~』と題した覆面座談会でした。司会である理事 倉重公太朗がコロナ感染対応やテレワーク等の新たな働き方に関する勘所を覆面の会員からうまく引き出し、専修大学 経営学部教授 廣石 忠司氏が適宜解説する掛け合いは他で聞くことが出来ない内容で非常に実践的でした。

 第三部は、『ジョブ型雇用を日本仕様に料理する』と題したパネリスト4名( 厚生労働省 職業指導技法研究官 浅野 浩美 氏/ 株式会社HRファーブラ代表 山本 紳也 氏/ 神戸大学 経済経営研究所 准教授 江夏 幾多郎 氏/ 独立行政法人労働政策研究・研修機構 主任研究員 藤本 真 氏)によるディスカッションでした。それぞれから出された論点により、ジョブ型雇用の議論が整理されると共に各組織課題に応じた人事施策としてジョブ型雇用を使う判断をするという共通認識が出来ました。

 第四部では、「国境が希薄化するHRM~国内の外国人材、国外のローカル人材、そしてグローバル・タレント・マネジメント~」と題した英語セッションでした。オンラインであることを活かし、アジア太平洋人材マネジメント連盟会長 Dhammika Fernando氏をゲストに迎え、協会会員5名からグローバル人事の各問題を提起した上で、氏よりフィードバックとスリランカでの事例をお話しいただきました。特にスリランカに進出した日本企業を例に、グローバル展開時の人事としての地域適合についてのDhammika氏の見解は興味深いものでありました。

 第五部では、「人事パーソンの様々なキャリア」と題して、様々な問題に取り組む人事パーソンの自分自身のキャリアについて考える時間でした。ファシリテーターである理事 堤 敏弘を含む会員6名にナラティブに披露いただいた実例は、非常に実直で、キャリアで悩む人事パーソンに参考になるものでありました。

 第六部は、協会理事長 藤原 長道から総括に関するコメントがあり、オンライン懇親会へ移行。複数回のブレイクアウトセッションにより、オフラインよりもセレンディピティな出会いが生まれ、意見交換、ネットワーキングを深める時間帯となりました。

取材・文 葛西 達哉(インサイト編集部員)