2020年度 JSHRMコンファレンス大盛況!

 2021年2月13日(土)JSHRM恒例のコンファレンスが開催されました。コロナ禍ということでリモート(オンライン)での開催でした。今年のテーマは、「今考えるべき人事 次の一手」。コロナ禍でのこの1年、企業人事は外的要因から否応無しに組織内での環境を変えてきました。しかし本質的な課題へのパラダイムシフトが進んでいるかどうかは疑問です。パラダイムシフトにつながる次の一手が必要という課題意識です。

 次の一手というフレーズを聞いて、将棋や囲碁の世界をイメージする方もいらっしゃるかと思います。著名将棋棋士の一人である羽生善治氏は、ある雑誌のインタビューにて、『駒を動かせるパターンはだいたい80通りくらいあるが、その中から直観で2つか3つを選ぶところから始める。残りの70以上ある手は最初から考えていない。しらみつぶしに全パターンを考えていたら、いくら時間があっても足りない。その理由はシンプルだ。1手ごとに選択肢が3つあるとしても、『数の爆発』という問題にぶつかってしまう。10手先まで考えると、選択肢は3の10乗(5万9049)通りも存在します。限られた時間の中で6万通り近いシミュレーションをこなすのは現実的ではない。』とコメントしています。将棋は盤上で棋譜を読み合う世界です。勿論相手との相互作用の文脈で棋譜を読み合います。このことは人事戦略を考える際にもヒント与えてくれるように思います。人事戦略での盤上とは企業や団体などの組織を指します。棋譜を読み合う世界とは、組織を構成する様々な人々、つまり経営者や従業員、顧客、株主などの言動による関係性や相互作用といったところでしょうか。人々の意思や思いを読み合うことが棋譜を読み合うことに通じるように思います。相手を思いやり、相手の欲求について、その背景も含めできるだけ深く理解し、自身の意思や欲求と擦り合わせようと試みる。擦り合わせることで摩擦や軋轢が生じることもありますが、自身と相手が共鳴、共感することで新しい何か(次の一手に繋がるヒント)が生まれる瞬間があります。

 今回コンファレンスにご参加頂いた皆さんにとっての次の一手とは?多くの企業や組織が次の一手を渇望していると思います。次の一手のみならず二手目、三手目も重要です。次の一手を考えるヒントを得ようと、ご自身の身近なネットワークにおける関係性や相互作用を紡いでみるのも良いのかも知れません。JSHRM(日本人材マネジメント協会)でも、今回のコンファレンスのみならず、月例会や自主研究会など多種多様な取り組みを通じて皆さんのお手伝いができれば幸甚です。

岡田 英之



(JSHRM 執行役員『Insights(インサイト)』編集長:岡田 英之)