「HR 関係者の集いは今年も盛況」

(大会担当)執行役員 堤 敏弘 氏
(東京国際大学法人本部 人事総務担当部長)

 今年度のコンファレンスは、昨年と同様に「JSHRMらしい、JSHRMならではの集い」をコンセプトとして、会員を主としたイベントにすべく例年同様に春から準備部会を始動した。2年目として最も悩んだのは、単なる発表会から一歩踏み出すにはどういう形が望ましいかという点であったが、この答えとして、会全体を通すテーマを定めることとし、昨今の人事課題の中でも、浸透してきているようで実はその中身の理解と実践が進んでないと思われるダイバーシティを取り上げることとした。

 第一部基調講演の内容については基調講演録(前頁)をご参照いただきたい。

 第二部では自主研究会から、それぞれの視点でダイバーシティに対する視点や課題の提起をお願いした。一部、会の紹介に偏ってしまったきらいもあったが、それぞれの軸から見た捉え方の差も如実に出ており、ある意味面白いと思っていただけた部分もあったのではないかと考えている。

 第三部では、研究会ごとに分かれ、フリーセッションとして様々な説明や議論を行っていただいた。単なる一方的な説明ではなく、双方向性をもつこの形態は、参加者の知見を伺う機会でもあり、今後も何らかの形で継続していきたいと改めて感じた次第である。

 第四部としてJSHRM常任役員の今野浩一郎先生から総括をいただいたが、いつもながらのユーモアに富み、一方で核心を突いたお話に、参加者も大いに刺激をもらったものと思う。

 また昨年に引き続き多くの方に参加いただいた懇親会では、親睦を深めるのみに留まらず、第三部で語り足りなかった方々の討議の延長戦も行われ、短い時間ではあったが参加者それぞれにとって価値ある時間にしていただけたのではないかと思う。

 例年以上に準備の進捗管理が甘く、直前にバタバタとした部分もあったが、結果としては昨年にそん色ない人数のご参加をいただき、なにがしか得るものがあった会にできたのではないかと自負している。特に今回は、新しい自主研究会の芽吹きもいくつか紹介され、今後への期待も高まるところである。来年度のコンファレンスについてはまだ白紙の状態ではあるが、JSHRMとその会員、またご興味を持っていただいている非会員の皆様、それぞれにとって価値のあるものとしていきたいと思う次第である。

大会部会メンバーの熱きおもい(所感)

「語り合いを続けましょう!」

渡部 由樹子 氏(キャリア・コンサルタント)

 前年のテーマ「進化しつづける人事プロ」の如く、前年よりも更に前進し、また参加者のみなさんに満足していただきたいというのが私の想いでした。会員の共通の課題であり、HR だけではなく組織全体での取り組みが必要である「ダイバーシティ」は、もう議論されて久しいのに、うまくいかないという声のほうが多いのはなぜか、企画メンバーの間でも仮説が難しいと感じていました。ならば、自主研究会それぞれの主題の観点から意見を聴き、参加者とともに今一度語り合おうということでテーマを決定しました。

 会員でニッセイ基礎研究所の松浦氏から「同質性のマネジメント」への問題提起をいただいたことも第三部でのディスカッションのヒントになりました。

 来年もより多くの方に参加いただき、お互いの課題解決のヒントを得られる場、ネットワーキングの場として仲間が広がっていくことを願っています。


「あらためて感じた存在意義」

松尾 寛子 氏(トランスコスモス株式会社)

 今年のコンファレンスはテーマ「ダイバーシティ」にふさわしく、20代から70代以上の幅広い参加者が集い、熱い議論が繰り広げられました。このテーマ、世代を理由に自分の意見を堂々と主張できるのもGood。聞く側も「違い」を前提とするため、相手への受容度が高くなります。

 言われて久しい女性活躍推進が、なぜ未だに各社の代表施策として取り上げられ続けているのか。政策的な影響は当然ありますが、その理由について松浦さんからは、高度成長期を支えた日本企業の「同質性」の根深さについて示唆に富んだお話があり、今を正しく知ることが、前進への第一歩だということを実感しました。

 設立16年、今年も手作り感満載のコンファレンスでしたが、ある意味マニアックなHR パーソンたちが集い、新たなインサイトを得てそれぞれの持ち場に戻り、日常に活かしていく。そんな循環を生み出す機会を作ることこそ、JSHRMの存在意義だと改めて感じる1日でした。


「やりたいこと? やれること?」

JSHRM 執行役員 四方 康之 氏

 世界的に見て、多様性を認め合うという議論は進んでいるはずなのですが、アメリカにおいてもまだまだ多様性を認めあえない現実があるように感じられます。真のダイバーシティを実現していくには今までとは違う視点で捉えていかなければならない、特に日本においては新卒採用を中心とする同一性を重視したマネジメントが一般的であり、ダイバーシティに関して一種のマニュアル化になっている感じがします。今後は型にはめずに労働者一人一人が自分のやれることは何かという「適材適所」を探していくことが重要なのではないかと思います。そういった意味から人事の皆様は考えを型にはめずに柔軟な取組をしていくことが今後は大切なのではないかと思います。


目次