【講 師】
KPMG コンサルティング People & Change パートナー 寺崎 文勝 氏
元GE Healthcare Japan Chief digital marketing evangelist, global leader 飯室 淳史 氏

ビールとお菓子を食べながらリラックスした空間で開始でしたが、参加者から質問が途切れず、熱心に伝える講師の寺崎氏と飯室氏

 人工知能が囲碁で欧州チャンピオンに勝利する衝撃―「2045年問題」(2045年頃には全ての仕事を人工知能が担う説)も現実的なものとして議論されはじめています。これ
からさまざまな分野でコンピュータが人間の能力を追い越していくことが予想されるなか、会社を良くするための活用としてどのような視点や考え方が必要なのでしょうか。

 今回のHRカフェは経営のビジネスパートナーである人事と人工知能のあるべき関係を中心に寺崎氏からお話をお伺いし、大手の外資・日系企業に元GEとしてデジタルマーケティグの使い方を説いてきた飯室氏がナビゲートという豪華なキャスティングとなりました。さらに元気な会社の代表であるカルビー株式会社様、サントリーホールディングス株式会社様の2社からお菓子とビールの協賛をいただき、リラックスした空間のなかの実施となりました。

 最初に寺崎氏から、人工知能の3つのブームという時間軸と現状と今後の対応と整理された情報提供がなされました。まず、人類の頭脳に近づく人工知能の3つのブームの山から説明がありました。

1956年の人工知能という言葉ができた【第一次AIブーム】。
1980年の「エキスパートシステム」ができた【第二次ブーム】。
そして2006 年からディープラーニングの提唱をした【第三次ブーム】を紹介。
2030年には、現在の仕事の9割が汎用AIと汎用ロボットに代替。AIで稼ぐ企業の法人税の再配分によるベーシック・インカムが導入され、“ 仕事”の意味の再構築があるとしました。現状と今後の見通しとして、エキスパートシステムの広範化により、スペシャリスト/エキスパートの低レベルの仕事は代替。税理士、会計士や弁護士のリサーチはすでに代替が進み、パターン認識では伝票の仕分や入力、新聞記者など、中間層の仕事が削り取られ、仕事は確実に二極化。感性や身体的な感覚、文脈から抽出し、読み取る力は最後までAIに置き換えられない。これからのビジネスパーソンはクリエイティビティ×変革のマネジメント×ホスピタリティが重要で尖ったところがないと生き残れないと指摘されました。

今回はカルビー、サントリーの2 社様より商品提供いただきました。ありがとうございます。

 最後にHR techの人事マネジメントの活用事例として、(1)採用精度・生産性向上(2)パフォーマンス予測と人材マッチング(3)ヘルスケア(4)退職者予測とリテンションがAIにより飛躍的に向上。しかしながら、テクノロジーを理解する人口が日本には少ないことが致命的だと指摘。この不確実性を前提とした生き残り戦略は、均一化でないダイバーシティマネジメントの実行が不可欠で締めくくられました。

 ファシリテーションの飯室氏からは、人がテクノロジーを道具として使いこなすこと。テクノロジーの理解を超えて、どのように使うのかを考えることが重要で、人とAIの差分は、「問いを立てて意味付けをすることが人の価値」とされました。さらに評価は人により異なり、人は評価により行動するという事実を考えた場合、評価に時間をかけるよりも、人の可能性を見抜くことや育成に時間を使うことが重要と説明。今後生き残る企業は、人の可能性を見抜き、尖った人材を活躍させる場づくりが企業の利益に直結することを感じる場となりました。講師の二人から人の可能性を活かしたい善意の気持ちが参加者に伝わり、会場からの質問が絶えず、大きな拍手で終了となりました。


〈 執筆:執行役員(HRカフェ担当)武田 行子 〉


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