男女雇用機会均等法の施行から30年。一定の進展もあるなかで、「女性活躍」にはまだまだ道半ばとの声も多いところです。
ところで昨今は当たり前に聞く“ダイバーシティ”という単語は、表層的視点に留まっていないでしょうか?
現代の日本の社会では、女性の問題がまだまだ主眼ですが、これに限らず障がい者や外国人の積極登用、雇用延長に伴うシニアの活用、育児や介護などによる制限的な働き方を余儀なくされる方への対応など、課題は目白押しです。さらには深層的視点、すなわちLGBTを受け入れる土壌の整備や、若者を中心として労働価値観が多様化している中での多様なライフスタイル志向にこたえる環境の整備も、広義のダイバーシティ、そしてインクルージョンの大きな課題であるといえます。
今年度のコンファレンスでは、ダイバーシティということの本質をもう一度振り返り、これに向けての今後の人事の役割を、様々な切り口で問題提起し、参加者の皆さんと議論する場としたいと考えています。

本年度年次大会は2016年10月29日(土)13時より、東京ユビキタス協創広場(内田洋行新川本社)にて開催しました。
本年テーマは「ダイバーシティ再考」~わかっているつもり? なぜ進まない? ~。

 多様性への対応といわれて久しく、労働価値観が多様化している中での多様なライフスタイルへの人材マネジメントの課題は尽きません。環境整備とあわせ、ダイバーシティとインクルージョンについて、人事労務の実務家・関係者同士によるテーマの意見交換・交流の『場』となりました。

 コンファレンスは4部構成で実施。
第1部の基調講演は、ニッセイ基礎研究所 主任研究員の松浦民恵氏による「『同質性のマネジメント』からダイバーシティー・マネジメントへ」、今日的課題から同質性が多様性を阻害するメカニズムの指摘を通じ、今後へ示唆いただきました。そのポイントは、1.多様な人材を締め出さない2.人事部が同質性から脱却する3.多様な人材を統合する、に要約できます。

 続いて、内田洋行執行役員 知的生産性研究所長の平山信彦氏からは「イノベーションと『働き方』変革」について、その根底に関し解説いただきました。

短時間の講演となりましたが、多様さを活かす組織への対応の在り方には、会場参加者からも納得の様子でした。

 第2部では協会「自主研究会」活動から、各研究会のテーマからみたダイバーシティ推進にまつわる課題認識と見解を紹介。一例として、「労働法研究会」は労働法の視点から、多様性推進が進まない理由には、正社員の働き方が変わらない点を挙げ、法改正も企業対応もつぎはぎになっていないか、と問いかけがありました。また、「WWN研究会」「YSC研究会」合同報告会からは、若手メンバーが登壇し、研究会での議論の様子を再演して、本音の一端を紹介しました。

 第3部は会場をかえて、第2部の各研究会のテーマ視点毎にグループセッションを実施。関心ある参加者と自主研究会メンバーとの意見交換の機会へ。ダイバーシティと一口ではかたづけられず、企業環境・文化と人事諸施策の深耕度合い等により、実施ウエートの違いなど、現況の人事縮図を観たセッションとなりました。

 第4部では、協会常任役員今野浩一郎(学習院大教授)から大会総括コメントがあり、懇親会へ移行。大部分の方々が懇親会に残られ、少なめのアルコールと軽食にて第3部のさらなる議論?と意見交換、ネットワーキングを深める時間帯となりました。昨年に増して、参加者間で盛り上がった大会となりました。

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