【講 師】

GE Healthcare Japan HR manager 岡田美紀子 氏
サントリーホールディングス株式会社 グローバル人事部部長 田中 憲一 氏

講師の岡田さんと田中さんのヒトに対する愛情が伝わる熱気あふれた会場になりました

 登壇者おふたりのうちのひとり、岡田美紀子さんは南山大学を卒業し、リクルートエージェントで人材コンサルティングなどを10年経験した後にアメリカ・カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)とシンガポール国立大学(NUS)が共同提供しているエグゼクティブMBAを取得し、現在はゼネラル・エレクトリックGEジャパンでHRマネジャーを務められています。

 また、同EMBAを卒業された山崎裕二さんと共著で『世界の最も野心的なビジネスエリートがしている 一流の頭脳の磨き方』を出版されています。

 もうひと方の田中憲一さんは日本・欧州での人事業務経験を経て、現在はサントリーホールディングス株式会社人事部で人・組織に関わるグローバル課題に取り組んでおられます。

 世界中から集まったエグゼクティブが実践的に学ぶUCLA-NUCのエグゼクティブプログラムで岡田さんが実感されたのは、EMBA受講者が学習することに貪欲で、ビジネスのフレームワークなど知った上、自分の経験をさらに高速で学習サイクルに回していることです。岡田さんいわく、知力と人間力と判断が追いつかない状態で、その中で揉まれたそうです。

 田中さんはさらに補足して、今後AIがビジネスの多くを処理できるようになると仮定してなお、「リーダーシップはAIができるか」「共感を機会にもたらせるか」「変革はAIにできるか」と問うてました。これがすなわち、副題「AIやロボットの進化により、知的労働にかかわるビジネスパーソンにもっとも必要な能力」とは、の答えになるかと思います。

 青いとは思いますが、リーダーシップ、変革をもたらすパッション、リーダーに従おうと思うフォロワーの情熱、といったものが典型的な答えだったと思います。

 この後、時間のほとんどは参加者からの質疑応答を中心とし、とてもインタラクティブなセッションとなりました。何人もの参加者とのQ&Aの中で最も私の印象に残ったのは、日本人リーダーと他の国のリーダーの違いといったことです。

 ひとつには、10年後に社会がどうなるか、リーダーが人類にどう貢献できるかを踏まえた上での発言、これは日本人リーダーからはとても少ないと岡田さんからの指摘でした。自分よりもすごいリーダーを後継者の中に見つけてその芽を伸ばすことが、リーダーの重要な仕事であることを、何よりもつよく感じました。そして、事業部の中では残せないと思うような、自分を乗り越えるかも知れない尖った人材を、人事部が次の世代のリーダー候補として残せるように土壌を整えるのが仕事だと再発見しました。特にコンプライアンスとハラスメントにおいては、経営陣が人の道を外れないための最後の砦だということは、人事の役割についてとても重い言葉だと思います。

 岡田さん、田中さん、とても刺激的なセッションをありがとうございました。

講演会終了後、関係者記念撮影へ

〈 寄稿:JSHRM 会員 藤井 真理氏(アイフォータレント株式会社 代表取締役社長) 〉


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